SOLIDWORKS(ソリッドワークス)を独学で習得するには、時間がかかります。独学では『楽して短期間で習得する』なんてことは難しいです。
時間をかけてコツコツ続けていれば、実務で通用するレベルまで到達することは可能です。
ここには、下記の4点について書かれています。
それぞれ解説していきます。
SOLIDWORKSを触らずに独学は難しい
まず前提として、SOLIDWORKSを使える環境の有無で、学習方法や学習にかかる時間・費用が変わってきます。
結論から言うと、完全に一人で学習するには、SOLIDWORKSを使える環境が必要です(個人で安くSOLIDWORKSを導入する方法は後述)。
SOLIDWORKSを『本を読むだけ』『動画を見るだけ』で習得するのは難しいです。知識を得ることはできますが、実際に手を動かして経験しないと、実務ではつまずきます。
商用利用が可能な通常のSOLIDWORKSは、3D CADの中では高くもなく、安くもなくといった価格ですが、学習のためだけに購入するには高価です。
最も安価な『SOLIDWORKS Standard』で約100万円。サブスクだと年間、約20万円します。
SOLIDWORKSを導入しない場合は、CADスクールに通う方法がありまが、受講料が高額になります。SOLIDWORKSを使える環境なら『株式会社VOSTのSOLIDWORKSセミナー』のように低価格で学べる講座もあり、自分のペースで学習することも可能です。
実務で通用するレベルまで到達するには、SOLIDWORKSを使える環境を手に入れましょう。それが無理なら、実際にSOLIDWORKSに触れることができる、CADスクールに入校したり、セミナーを受講したりすることをおすすめします。
経験しているかどうかは大きな差になります。手を動かして経験できる環境で学習しましょう。
SOLIDWORKSを個人で導入する方法
ソリッドワークスを安く手に入れる方法は以下の3つです。
パソコン選びに不安がある方は、こちらを参照してください。
3D EXPERIENCE SOLIDWORKS for Makers
個人向け・非営利目的での使用ができます。利用規約の範囲内で、年間2,000ドル以下の、利益のために作ったものを販売できます。
SOLIDWORKS Professionalと同等の機能が使えますが、データに制限があります。SOLIDWORKS for Makersのプラットフォームではネイティブ([sldprt][sldasm][slddrw]などの生データ)を扱えますが、商用利用が可能な通常のSOLIDWORKSでは開くことができません。[STEP]や[IGES]などの中間ファイルに変換すれば開けます。
業務目的でなければ、こちらの製品が金額的な負担が少なくておすすめです。
- $99/年
- $9.99/月
SOLIDWORKSを動かすための、Windowsを搭載しているパソコンは別途必要になります。システム要件などは、公式サイトで確認してください。
インストール方法は『solidworks for makers インストール』で検索すると、解説記事がたくさん出てきます。あなたが「分かりやすい」と感じるサイトを参考にしてください。
通常のSOLIDWORKSと比べると使い勝手は悪いですが、SOLIDWORKSがこの価格で使える時代が来るとは……
SOLIDWORKS for Students(学生版)
残念ながら、現在は日本では取り扱いがなくなっており、SOLIDWORKSを開発している『ダッソー・システムズ社』のオンラインショッピングから購入可能です。ソリッドワークス・ジャパンでは、製品に関する質問は受け付けていません。
- クラウド版 $60/年
- デスクトップ版 $99/年
学生が自習目的で使用するための製品です。営利目的・研究・授業での使用はできません。
Solutions for Entrepreneurs & Startups
スタートアップ企業向けのプログラムです。申請が承認されると、1年目は無料、2年目は70%オフ、3年目は50%オフでSOLIDWORKSを利用できます。
SOLIDWORKSを独学で習得する方法
具体的に独学のやり方を見ていきましょう。独学でSOLIDWORKSを習得する方法は以下の4つです。
書籍を読む
書籍はSOLIDWORKSの使い方について、体系的にまとまっているので、独学で習得するには必須です。参考書の類は価格が高めですが、それだけの価値があります。
と言われても、SOLIDWORKS関連の書籍はたくさん出ているので、どれを買ったらいいか分からないですよね。私も初心者の頃は迷いました……網羅的に書かれているものよりも、目的に絞った内容のものを読んだ方が、無駄な情報がないので読みやすいです。
- 3Dモデリングを習得したいなら
-
『フィーチャー』『スケッチ』『サーフェス』『アセンブリ』について詳しく書かれています。モデリングがメインの内容です。おまけ程度に、レンダリングや解析についても書かれています。
『板金』や『溶接』についての解説はありません。
初心者が「SOLIDWORKSを理解する」「SOLIDWORKSに慣れる」には良い本です。
ポチップ - 図面を習得したいなら
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最近は図面レスでのものづくりが進んでいます。製図のスキルがどこまで必要なのかは、働く環境によって大きく変わります。
図面が必要のないメーカーに勤めた場合は、無駄になるので、ざっと目を通すか、必要なときに読みましょう。
- 製図に関して学習したいなら
-
SOLIDWORKSの操作とは直接関係ありませんが、製図に関しては以下の2冊がおすすめです。
初心者向けです。Kindle Unlimited会員なら0円なので、はじめて製図の勉強する方におすすめです。
ポチップ機械系の製図をする方におすすめの本です。
ポチップ
本を読みながら手を動すことで、実務で困らないレベルまで使えるようになります。効率の良いモデリング方法や工数削減に関しては、実践あるのみ。使い込んでいけば自然と身につきます。
実務で設計する製品によっては、アドオンの使い方も覚える必要があります。アドオンに関しては、身構えなくても大丈夫です。便利な機能が増えることになるので、SOLIDWORKSの基本操作を理解していれば難しくありません。
アドオンを使いこなすには、操作方法よりも各分野の知識や経験が重要になります。
『アドオン』とは、簡単に説明すると《機械設計や板金設計、電気設計など専門分野でSOLIDWORKSをより使いやすく、より便利にするための、SOLIDWORKSに追加するソフトウェア》です。(『アドイン』や『プラグイン』と呼ぶこともあります。)
SOLIDWORKSの豊富なアドオンの中には、『CAM』や『CAE』なども追加できるので、SOLIDWORKSを習得すると、エンジニアとしての可能性が広がります。
SOLIDWORKSのチュートリアル、公式サイト/ヘルプを参照
SOLIDWORKSにはチュートリアルが用意されています。チュートリアルを進めることで、SOLIDWORKSへの理解が深まり、操作方法で困ることはなくなります。説明の仕方が少しだけ不親切な感じはありますが、勉強になるので時間を見つけて挑戦してみてください。
メニューバーから『ヘルプ』→『チュートリアル』で下の画像のチュートリアルを開くことができます。
作業中に分からないことがあれば、ソリッドワークス・ジャパンのブログを参照したり、ヘルプで調べたりして解決してください。
正直、SOLIDWORKSのヘルプの内容は、ほぼ文章のみでよく分かりません……
外部のWebサイトを利用する
ソリッドワークス・ジャパンのブログ以外にも『SOLIDWORKS』+『__』←(やりたいこと)で検索すると、解説記事がでてきます。
このような解説サイトは、分かりやすく解説していることが多く、公式サイトやヘルプよりも解決できます。
ヘルプで分からなかったら、検索しましょう。
【Yahoo知恵袋】にも参考になる回答があります。自分の分からない事と同じ内容の質問があると、サクッと解決できます。
SOLIDWORKSの使い方については、公式ブログやヘルプ、その他の外部サイトなど、情報が豊富なので検索すればだいたいのことは解決できます。
ちなみに、当サイト【グラント】でもSOLIDWORKSの使い方を学習することができます。
YouTubeを見る
解説動画をYouTubeに上げている方も、たくさんいらっしゃいます。動画を見ながら作業ができる環境なら、動画は実際に操作している様子を見ることができるので分かりやすいです。
日本人の方が日本語で解説されている動画が増えてきたので、動画での学習もおすすめです。
欲しい情報が日本語以外の動画しかない場合は、YouTubeの日本語字幕を表示をすると、内容が理解できます。(一部、字幕表示ができない動画があります。)
動画の右下のボタンから字幕のオン/オフができます。
表示される字幕が日本語でない場合は、以下の手順で自動翻訳が可能です。
独学に限界を感じたら→短期間で確実に習得する
【SOLIDWORKSを独学で習得する方法】を解説してきましたが、独学で習得するには時間と環境、根気(モチベーション)が必要です。独学で特に難しいのは、モチベーションを維持して、継続して学習することです。
私の経験上、まったくSOLIDWORKSを触ったことがない人が、独学で習得しようと思っても、高確率で挫折しています。『SOLIDWORKSを習得して、作りたいものがある』とか『仕事で必要になった』など、明確な目標や強制力があれば継続して学習できますが、そうでない場合はだいたい挫折します。
SOLIDWORKSを習得すると、メーカーへの転職で有利になったり、副業で稼いだりとメリットが多いです。短期間で業務で使えるレベルまで到達するには、セミナーやCADスクールを利用しましょう。
自己投資することで『SOLIDWORKSで稼ぐ』という明確な目標が生まれ、『投資した』という事実があることで、高確率でSOLIDWORKSを習得することができます。
おすすめのセミナー
セミナーは、CADを使える環境がある場合におすすめの学習方法です。
CADソフトやパソコンが必要なのはデメリットですが、代わりに受講料が安くなります。自分のペースで学べます。「分からないところは講師に質問する」「怪しいところは自由に復習できる」など、確実に習得できる学習方法です。
習得できるCAD | SOLIDWORKS |
通学(場所) | 東京都千代田区内神田3-18-3 アドミラル神田ビル4階『Google Map』 |
オンライン | ウェビナー(ライブ) eラーニング |
入学前の説明・体験入学 | お試し動画で無料受講 公式サイト内のよくある質問 |
就職・転職サポート | |
受講料/通常コース | eラーニング(全12回、目安は約3ヶ月/理解できない問題は、講師に質問することが可能/受講後に修了証を発行) ¥74,800 |
受講料/速習コース (全12回の通常コースを凝縮) | 会場受講(対面):2日間 ¥46,200 ウェビナー(どこでも受講可):2日間 ¥46,200 eラーニング(1年間いつでも何回でも視聴可能/会場受講と同等内容の動画) 復習パック(速習コース受講者が対象):¥33,000 ※【復習パック】はeラーニングのみ。通常コースの「課題+解説」の部分を凝縮した自主学習用のオプション |
公式サイト | bizroad-svc.com/solidworks/ |
SOLIDWORKSは受講者が用意する必要があります。その分、低価格で基礎から応用まで学べます。CADスクールは1日x5万円ほどが相場なので、他と比べると価格がずいぶん控えめです。
「SOLIDWORKSをこれから使い始める」といったタイミングに最適なセミナーです。
おすすめのCADスクール
CADスクールは、CADソフトもパソコンもスクール側が用意します。CADが使える環境がなくても学べます。
申し込むだけで、手軽に学習できるメリットはありますが、受講料が高額になってしまいます。CADに触れる期間も受講中のみになってしまうので、学習する目的を明確にしてから申し込みましょう。
ソフトキャンパス
学べるCAD | ARCHICAD・AutoCAD・CATIA・Civil3D・Fusion360・Inventor・Revit・SOLIDWORKS・Jw_cad・Vectorworks |
通学(場所) | 新宿・横浜・仙台・青森・弘前 |
オンライン | |
入学前の説明・体験入学 | 無料体験 |
就職・転職サポート | 無料相談 |
受講料 |
その他の講座は公式サイトへ |
公式サイト | softcampus.co.jp/ |
学べるCADソフトに対して、さまざまなコースが用意されています。1対1のオンライン講座も有り、通学できなくても学習しやすい環境を提供しています。
Winスクール
習得できるCAD | AutoCAD・CATIA・SOLIDWORKS・NX・Creo Parametric・Jw_cad ・Vectorworks・Revit(BIM)・ARCHICAD・CADWe’ll Tfas |
通学(場所) | 全国(教室を探すを参照) |
オンライン | AutoCAD・CATIA・SOLIDWORKS・Creo Parametric・Jw_cad・Vectorworks |
入学前の説明・体験入学 | カウンセリング・無料体験・説明会 |
就職・転職サポート | |
受講料 | 詳しくは「資料請求」「無料カウンセリング・受講相談」をご利用ください。 |
公式サイト | winschool.jp/guidance/cad/ |
学べるCADの種類、教室の数が豊富なCADスクールです。一部の講座はオンラインにも対応しています。
就職・転職のサポートもあり、充実した内容になっています。
受講前には、一人ひとりに寄り添ったカウンセリング(無料)と受講説明を提供し、受講の様子を見学することも可能です。
そのため、受講内容に十分に納得し、不安を解消した上で受講することができます。
最も確実|SOLIDWORKSを導入している企業で働く
独学とは言えませんが、この方法が確実でお金もかかりません。なんなら給料をもらいながら学習できます。実際は学習ではなく仕事をするのがメインですが、未経験でも応募可能な企業であれば、1ヶ月〜3ヶ月程度の講習をしてくれるところもあります。
研修制度などが整っていない企業だとしても、先輩や上司、サポートセンターなどの指導を受けながら、業務でSOLIDWORKSに触れていれば、確実に使えるようになります。
はじめたばかりの頃は、言われたとおりにCADの操作をするだけで給料がもらえますが、SOLIDWORKSは設計ツールなので、SOLIDWORKSで仕事をするには設計力が必要です。
CADオペレーターも設計士も不足しているので、CADオペからスタートして、設計のノウハウを学んで、技術的な勉強をしていけばエンジニアとして活躍する未来も見えてきます。
良いところばかりに見えますが、これまで紹介してきた方法の中で、もっともリスクの高い習得方法です。特に在職中はリスクが高いですが、今の仕事に満足していないのであればやる価値はあります。
『CADオペ』『設計』の仕事に挑戦するなら、製造業専門の転職エージェント・求人サイトをご利用ください。キャリア設計から始めたい場合は、キャリア相談サービスの利用がおすすめです。
SOLIDWORKSを独学で習得する方法|まとめ
SOLIDWORKSを独学で習得するのは、簡単ではありません。しかし、ものづくりで稼ぐには、CADは必須スキルです。
自動化がどんどん進んでいますが「自動見積もり」「自動加工プログラム生成」「解析」すべてCADデータが必要です。製造業で稼いでいくために、積極的に学習していきましょう。
SOLIDWORKSを習得する方法は下記の7つ。一つずつ実践して、明るい未来を手に入れましょう。