「中間ファイルからインポートしたモデルは編集できないの?」と悩んでいる方向けの解説になります。
「ネット上にあるCADデータを少し編集すれば描きたかったモデルが簡単に描ける。」ということもあるので覚えておくと便利です。
- 作成履歴が残っていないため、自由自在に編集できるわけではありません。
- 履歴が残っているものを編集するよりはやりづらいですが、形を変えることは可能なので、そのやり方を解説します。
- 【ロールバック】と【シェル】についてもこちらで解説しています。
- 『等辺山形鋼 75 x 75 x 6』のCADデータを使って解説しているので、インポートしていただくとチュートリアルとしてこの記事を利用できます。
- CADデータのインポートの方法は【CADデータをダウンロードしてインポートする方法】を参照してください。
このボタンからCADデータをダウンロードできます
FeatureWorksを使ってフィーチャー認識
ダウンロードしてインポートした75 x 75 x 6のアングルを50 x 50 x 6のアングルに編集していきます。
フィーチャー認識する前にFeatureWorksの設定を一箇所だけ変えておきます。
デザインツリーのインポート1を右クリックしてください。
『FeatureWorks → オプション』でオプションを開きます。

自動で寸法を追加するように設定します。
『寸法/拘束 → 「スケッチの自動寸法オンに設定」にチェック → OK』
寸法は無くても手動で追加すれば良いのですが、自動で入れて変更する方が早いことが多いです。

もう一度インポート1を右クリックしてください。
『FeatureWorks → フィーチャー認識』を選択してください。

- 認識モードを自動
- フィーチャータイプは標準フィーチャー
- 自動フィーチャーのチェックボックスに全てチェック
上記の状態でOKボタンをクリックしてください。

インポートデータが新規部品になり、デザインツリーに『平面1』と『ボス – 押し出し1』が追加されます。

後はスケッチの寸法を変更するだけです。
『ボス – 押し出し1』をクリックして、ショートカットメニューのスケッチ編集を選択してください。

自動で入っている寸法をダブルクリックして寸法を変更してください。
75 → 50(2ヶ所)
R4 → R4.5(2ヶ所)
R8.5 → R6.5
(完全定義されませんが、固定されていないだけなので気にしなくてもOKです。気になる場合は固定の拘束を追加してください。)


寸法の変更が終わったらスケッチ終了をクリックしてください。
『50 x 50 x 6』のアングルに編集完了です。

複雑な形状の場合
FeatureWorksのPropertyManagerで『次へ(→)』をクリックすると、フィーチャーを編集しやすいようにパターン化することができます。
または認識モードを自動ではなくインタラクティブにすると手動で一つ一つ認識させることもできます。
ここでうまくパターン化しておくと後が楽ですが、私はほぼ使っていません。

FeatureWorksを使って複雑な形状をフィーチャー認識しようとすると認識されないボディがあったり、認識フィーチャーが多過ぎたりで時間が取られる事が多いので後述する個別にフィーチャー認識する方法がおすすめです。
全てフィーチャー認識しないといけない場合を除いて、編集したい部分だけフィーチャー認識した方が効率が良いです。

うまく認識されない場合
カーネルの異なる中間ファイルだと失敗することがあります。
アセンブリをインポートしたら部品が認識されなかったり、そもそもうまくインポートできないこともあります。
その場合は一度『Parasolid』にエクスポートしてからインポートすると成功する事があるのでお試しください。
- カーネル(Kernel)とは
-
3次元CADの形状の表現やコマンドなどのベースとなる部分です。
Webサイトを表示させるために必要なHTMLやCSSなどのコードのように、形状を数式化したものです。SOLIDWORKSのカーネルはParasolidを採用しているので中間ファイルでCADデータを受け取るときは可能であればParasolidで要求するとトラブルを回避できます。
個別にフィーチャー認識
上記と同様に75 x 75 x 6のアングルから50 x 50 x 6のアングルに違う方法で編集していきます。
ここでの例(アングル)では無駄に手間のかかる方法ですが、形状が複雑過ぎる場合などはこちらの方法がおすすめです。
インポートデータのフィーチャー編集
アングルの端面(L字の面)をクリックしてください。
(右クリック or 左クリックどちらでもOK)
グラフィック領域内に表示されるメニューのフィーチャー編集をクリックしてください。

選択面上で子フィーチャーを認識しますか?とダイアログが表示されます。
はいをクリックしましょう。

左側のデザインツリーにカット – 押し出しとフィレットが追加されます。

フィレットの編集
まず、フィレットを変更していきます。(アングルのRの部分です。)
フィレットをクリックして、表示されたショートカットメニューからフィーチャー編集をクリックしてください。

グラフィック領域で寸法を変更しましょう。
変更したい数値をクリック → 変更後の数値を入力してください。
小さい方の半径:4 → 4.5(2ヶ所)
大きい方の半径:8.5 → 6.5


変更が全て終わったら、OKボタンをクリックしてフィーチャー編集を終了します。

ロールバック
フィレットが有るとこの後の編集がやりづらいので、ここからはロールバックしてフィレットの前にモデリングしていきます。
ロールバックバーをドラッグしてフィレットとカット – 押し出しの間に移動してください。

そうするとフィレットが無くなってR無しのアングルに変わります。
(フィレットを追加する前の形状になります。)

- ロールバックバーを移動することで以前の状態に一時的に戻すことができます。
- この状態で新しいフィーチャーを追加するとバーの位置(戻った状態)に追加できます。
(今回の場合はフィレットを追加する前のモノに新しいフィーチャーを追加します。)
スケッチ編集
アングルの辺を75から50に変更していきます。
カット – 押し出しをクリックしてショートカットメニューからスケッチ編集をクリックしてください。

そうすると3Dモデルが立方体になり、矩形のスケッチが編集中になります。
矩形は立方体からアングルの厚さを残して削る部分だと考えてください。
何もしていない状態だと75 x75 x 6のアングルなので75 – 6 = 69の正方形になっています。
これを50 – 6 = 44に変更します。
スケッチ編集がしやすい表示を変えましょう。
ヘッズアップビューツールバーから選択アイテムに垂直を選択しましょう。
そうすることで2D CADのような感覚で作業ができます。

スマート寸法コマンドを選択して、矩形の直線(辺)をクリックしましょう。
空いてるスペースにポインターを移動して、もう一度クリックすると寸法が変更できます。
寸法を44にしてください。
(44 → EnterまたはOKボタンをクリック)
これを2辺に対して行いましょう。


寸法の入力が完了したら、スマート寸法をもう一度クリック
または右クリック→選択で選択モードにします。
矩形の位置をカットしたい位置に移動します。
上のエッジとスケッチの上の直線をCtrlキーを押しながらクリックしてください。
(選択中は色が水色に変わります。)
Property Managerの選択エンティティにエッジと直線が入っていればOKです。
その下にある拘束関係追加の同一線上のボタンをクリックしてOKボタンをクリックしてください。


左側のエッジとスケッチの左側の直線も上記と同じように同一線上の拘束関係追加をしてください。

左上に矩形が移動して直線の色が全て青から黒になっていれば、スケッチ終了をクリックしてください。


シェル
分厚いアングルができるので、厚さを6mmにします。
今回はシェルコマンドを使ってみましょう。
フィーチャータブからシェルを選択してください。


削除する面を選択します。
今回はL字の内側の部分以外、すべてクリックします。


寸法を6mmにしましょう。
(シェルの寸法は厚さのことです。)
削除面の選択、寸法の変更が完了したら、OKボタンをクリックしてください。

これで50 x 50 x 6のアングルが出来ました。
最後にロールバックバーを下までドラッグして完成です。


お疲れ様でした。
まとめ|中間ファイルを編集して有効活用
- 単純な形状はFeatureWoksを使って自動でフィーチャー認識
- 複雑な形状は個別にフィーチャー認識(編集したい部分をフィーチャー編集)
中間ファイルは3D CADソフトを揃えなくても開くことができたり、CAD以外のソフトウェアで3Dモデルを利用したりと便利です。
インターネットやクライアント等からのCADデータをうまく活用すると時短になるので、是非活用してみてください。