「パソコン買うならOffice付きにしようかな?」「Officeが搭載されているパソコンのほうが安いよね?」と考えているそこのあなた、Office搭載パソコンを買ってはいけません。
その理由は、パソコンにプリインストールされたOfficeの価格が、メーカーや販売店によって差があるからです。
それぞれが自由に価格設定をするうえ、価格が明示されていないため、Officeの適正な販売価格を見極めることが困難なのです。
定価が不明なため、適正価格が分かりづらい……
Office代は「表記されている価格 ー パソコン代 = Office代」で計算できます。
しかし、パソコンとOfficeの価格を調べて比較するのは、手間と時間がかかります。さらにパソコンがセール中だと、もはやよく分かりません。
プリインストール版は、Officeをもっとも安く買う方法ですが、価格が分かりづらいため、逆に高くつく可能性があります。
ぼったくられないように、気をつけましょう。
この記事では、「Officeを適正な価格で買う方法」を解説します。
適正な価格が分かれば、余計な出費をすることはありません。損をして後悔することもありません。
「Office搭載PC」とは「プリインストール版Office付き」
そもそも「Office搭載PC」とはどういう意味なのか、前提条件を話しておきます。
家電量販店や通販サイトで見かける「Office搭載」というのは、「プリインストール版Office付き」または「OEMライセンス付き」という意味です。
Microsoft Officeのライセンスが、パソコンに付与されています。
「どういうことか?」というと、「購入するパソコンでしか使えないOfficeが搭載されている」という意味です。
もし、パソコンが壊れたり、パソコンを買い替えたりした場合は、Officeも購入する必要があります。
プリインストール版以外のOfficeは、購入者にライセンス付与
Officeには、プリインストール版のほかに「永続版」「Microsoft 365」「互換品」があります。
「永続版」や「Microsoft 365」は、パソコンではなく、購入者にライセンスが付与されます。パソコンを買い替えても、新たにOfficeを購入する必要がありません。
「永続版」はその名のとおり、購入したらずっと使えます。その代わりバージョンアップができません。
「Microsoft 365」はサプスクリプションなので、契約中は最新のOfficeを使い続けることが可能です。
しかも、使えるデバイスは1台だけではありません。「永続版」は1ライセンスで2台。「Microsoft 365」は5台まで使用可能です。
「互換品」で人気があるのは、キングソフト社の「WPS Office」です。これも、ユーザー登録をすれば、他のパソコンへの入れ替えが可能です(しかも激安)。
プリインストール版はもっとも安いはず
プリインストール版のOfficeは、「Microsoft Office」の中では、もっとも安く買える製品のはずです。
「Officeを使用するのは1台のパソコンでのみ」「1台のパソコンを長く使う(目安は5年以上)」という場合は、もっとも安い…はず
しかし、冒頭でも述べたとおり、定価が不明で、適正価格が分かりづらいため、逆に高く買わされる可能性があります。
販売店の価格設定しだいでは、損をするかもしれません。
では、「どんな条件だと損をするのか?」次項で解説していきます。
Office搭載PCを買ってはいけない理由と条件
もし、どのパソコンにしようか決まっている場合、そのOffice付きパソコンの価格をよく見てください。
Office代がいくらか書いてありますか?
書いていないことがほとんどです。
本来なら、パソコン本体とOfficeの価格をそれぞれ表記すべきですが、ほとんどのOffice搭載パソコンには「Office付き!○○円」としか表記されていません。
パソコン本体の価格を調べれば、Office代は計算できます(表記されている価格 ー パソコン代 = Office代)。
しかし、パソコン本体の価格を調べて計算する人は、ごくごく少数です。ほとんどの人は『めんどくせ』と思って買ってしまいます。
計算してみると、「『Officeなしパソコン』+『永続版ライセンス』のほうが安くね?」ってなることがあります。
値段が分からないのに買うのは、金持ちのやることです。Officeの価格が表記されていないパソコンは、避けた方が無難です。
そもそも、次の条件に当てはまる場合は、Officeを購入する必要がありません。
永続版ライセンスがあればOfficeは要らない
「永続版(パッケージ版・オンラインコード版)のライセンスをすでに持っている」「前のパソコンで使っていた」という場合は、Officeを購入する必要はありません。
永続版のライセンスがあれば、新しいパソコンでも現在のライセンスでOfficeが使えます。
しかも、2台まで使えます。買い替えではなく、パソコンを買い増しする場合も、新たにOfficeを購入する必要はありません。
「永続版」はその名の通り、ずっと使い続けることが可能です。ただし、Microsoftのサポートには期限があります。
バージョン | 開始日 | メインストリームサポートの終了日 | 延長サポートの終了日 |
---|---|---|---|
Office 2013 | 2014年2月25日 | 2018年4月10日 | 2023年4月11日 |
Office 2016 | 2015年9月22日 | 2020年10月13日 | 2025年10月14日 |
Office 2019 | 2018年9月24日 | 2023年10月10日 | 2025年10月14日 |
Office 2021 | 2021年10月5日 | 2026年10月13日 |
バージョンアップはできませんが、サポートの期限内であれば安心して使用できます。
永続版には「パッケージ版」と「オンラインコード版」の2種類があります。
パッケージ版は家電量販店でも買えます。オンラインコード版は、マイクロソフトストアやAmazon、楽天市場などの通販サイトで購入可能です(オンラインコード版のほうが少し安い)。
【永続版の価格】
- Personal 2021(Windows):¥37,700
- Home & Business 2021(Windows/Mac):¥43,980
- Professional 2021(Windows):¥75,650
- Home & Student 2021 for Mac:¥29,980
- Professional Academic 2021(Windows)(学生・教職員向け)
※公式ストアで販売ページ見つけられなかったので、リンクは楽天市場 - Office Academic 2021 for Mac:¥21,250(学生・教職員向け)
- Office Standard 2021(企業向け・ボリュームライセンス)
※一般販売はされていない
Amazonのマイクロソフトストアで買えるものです(Amazonの方がなぜか安い)。
- Personal 2021(Windows):¥34,273(2024年6月現在)
- Home & Business 2021 (Windows/Mac):¥39,982(2024年6月現在)
- Home & Student 2021 for Mac:¥27,255(2024年6月現在)
Microsoft 365を契約中ならOfficeは必要ない
「Microsoft 365」を購入済みなら、そもそもOffice代を払ってパソコンを買う必要がありません。
解約しない限り、Officeを使い続けられます。
Microsoft 365は、「Word」「Excel」「PowerPoint」以外にも、OneDriveの容量が1TBに増えたり、スマホやタブレットでも使えたり、機能面では最強です。
≫ 詳しくはこちら(公式サイト)
しかし、1人で使うには、『Microsoft 365のメリットは薄いかな……』と思います。
OneDriveが、1TB使えるのは魅力的ですが、「Word」「Excel」「PowerPoint」「Outlook」しか使わない場合、永続版のほうが安上がりです。
「Microsoft 365 Family」は、6人まで使えて 21,000円/年(1,750/月)なので、6人で使えば激安です。3人以上で使うなら、価格面でも機能面でもMicrosoft 365のほうが安上がりになります。
個人的に気になるのは、AIが使えるかどうかです。
今後、AI(Copilot)付きOfficeが個人でも使えるようになったとき、「AIが使えるのは、Microsoft365だけで~す。」とか言い出しそう……
【Microsoft 365の価格】
- Personal(同時使用5台まで):¥14,900/年
- Family(最大6人・同時使用5台まで):¥21,000/年
- Business Basic:¥899 ユーザー/月
- Apps for business:¥1,236 ユーザー/月
- Business Standard:¥1,874 ユーザー/月
- Business Premium:¥3,298 ユーザー/月
- Personal 1年版(同時使用5台まで):¥13,410(2024年6月現在)
- Family 1年版(最大6人・同時使用5台まで):¥19,091(2024年6月現在)
- Business Standard 1年版(1ユーザー・5台まで):¥18,764(2024年6月現在)
仕事でパソコンを使わないなら無料版もあり
仕事で使わないパソコンを購入する場合は、Office搭載パソコンは無駄に高いだけになってしまいます。
無料で使えるツールがあるので、そもそもOfficeを購入する必要がありません。
Microsoftアカウントがあれば、「Word」「Excel」「PowerPoint」は、Web版が無料で使えます。
普段から、Officeを使ってバリバリ仕事をしている方には、物足りないかもしれませんが、基本的な機能は使えます(マクロは動かない)。
Web版は、使い方に少しクセがあります。
特にファイルを開くときは、いちいちOneDriveにアップロードが必要なので煩わしいです。一部、使えないショートカットもあります。
Web版ではなく、デスクトップアプリを使いたい場合は、「WPS Office 2を使う」という手があります。
激安ですが、Microsoft Officeと互換性が高く、普通に使えます。
マクロを動かしたい場合は、「WPS Office 2 Gold Edition」が必要です。
そもそもMicrosoft Office以外でもいいなら、「Google ドキュメント」や「Google シート」、Macユーザーなら「Pages」や「Numbers」が無料で使えます。
結論、仕事で使う人、VBAを組みたい人は、Microsof Officeが必要です。それ以外の人は、Officeを買う必要すらありません。
Office搭載PCを買ってもいい条件
Office搭載パソコンは、「Officeを1台のパソコンで、1人で使う」という条件では、もっとも安くOfficeが手に入ります。
ここまで散々「Office搭載PC」を否定してきましたが、次のような場合は、買っても大丈夫です。
価格が明記されている
Officeの価格が明記されている場合は、買っても大丈夫です。
ただし、購入する金額に納得する必要があります。
メーカーの販売サイトで調べてしみましたが、同じ製品なのに、価格差があります。
【HP(ヒューレット・パッカード)】
【Lenovo】
【富士通】
【FRONTIER】
HPの「デジタルアタッチ版」てな〜に?って思ったかもしれませんが、要はプリインストール版です。
「Office 2021」から、プリインストール版にはプロダクトキーがなくなり、Microsoftアカウントで有効化する仕組みに変わっています(パッケージ版・オンラインコード版は、プロダクトキーあり)。
Microsoftアカウントと紐づけるタイプのOfficeを「デジタルアタッチ版」と呼びます。
Officeは、富士通が良心的な価格(本体高いけど……)。HPとLenovoは、パソコン本体のコスパは良いけど、Officeは高めですね。FRONTIERはその中間、といった感じです。
一緒に購入するパソコンや、購入時期によって価格は変わるので、画像の価格は目安程度にしてください。
とはいえ、実際にこれだけの価格差があります。
値段を見ずに買うの怖くありませんか?
「高いからぼったくってる」というわけではありません。ほかの価格を下げるために、Officeの価格を上げている可能性があります。
メーカーによってマーケティング戦略が違うので、非難することはできません。価格を表示しているだけマシです。
表示されている価格に納得できるなら、Office搭載パソコンを買っても大丈夫です。『納得できるなら』ですよ。
家電量販店に行く機会があったら、パソコンコーナーの値札を見てください。ほとんどのパソコンがOffice付きです。しかし、Officeの価格は書いてありません。怖いですね。
「『HP』や『Lenovo』のOffice代が高い」と言っても、永続版より安いですし、価格が分かるだけマシなんです。その分、パソコン本体が安いし。
家電量販店でOffice搭載パソコンを購入する際は、「パソコン代はいくらか?」「Office代はいくらか?」を確認してから購入しましょう。
メーカーのサイトでカスタマイズして購入する
前項では、「価格が明記されていれば、買っても大丈夫」という話でした。
ここでは、「Officeの価格は、どこにいけば分かるのか?」という話です。
答えは、カスタマイズできるパソコンは、確実に価格が分かります。
「家電量販店」やAmazonや楽天市場などの「大手通販サイト」でパソコンを買う場合、「Office搭載!〇〇円」としか表示されていません。
これだと、「パソコンと一緒に買うと、Office代はいくらか?」が分かりません。
「BTOパソコン」や「メーカー直販サイト」で購入すれば、カスタマイズが可能です(一部できないモデルもある)。
カスタマイズ可能なサイトで購入すれば、あとからOfficeを選んで追加します。
そのため、これから買おうとしている「Officeがいくらか?」が明白です。
▼「BTOパソコン」や「メーカー直販サイト」は、こちらでそれぞれの特徴をまとめています。
中古パソコンは問題ないけど、注意が必要
中古パソコンの場合は、専門店で買うならOffice搭載PCでも問題ありませんが、個人売買ではNGです。
そもそも中古パソコンに、プリインストール版のOfficeが搭載されているパターンは、少なめです。
あったとしても、古いです(2016とか、2019とか)。
可能性があるのは、前のオーナーがプリインストール版を買っていて、ライセンス(プロダクトキー)の譲渡が、問題なく行われた場合、または使っていなかった場合に限られます。
まともな業者であれば、中古パソコンとして販売する際に、初期化(クリーンインストール)するのは当たり前です。
その際にOfficeもアンインストールされます。
バージョンによりますが、もう一度、Officeを使えるようにするには、プロダクトキーが必要です。
ところがどっこい、前のオーナーがプロダクトキーを紛失してしまった場合は、パソコンからアンインスールした時点で、もう二度とプリインストール版のライセンスでOfficeを使用できません。
最近は、何でもかんでもMicrosoftアカウントとの紐づけが必要です。Microsoftアカウントと紐づいている場合は、前オーナーのアカウントを使用しない限り使えません。
要するに、中古で買えるOffice搭載パソコンは、「古いパソコン」「古いOffice」。または、前のオーナーが「Officeを使用しなかった」場合に限ります。
中古パソコン専門店で購入すれば問題ない
「パソコン市場」や「Qualit」のような、中古パソコン専門店で購入する場合は、問題ありません。
Office付きだからといって、べらぼうに高くなることもありません。
中古パソコンは「価格とスペックが気に入れば買い」なので、「Office搭載パソコンだから選択肢から外す」といったことは、しなくても大丈夫です。
とはいっても、せっかく中古パソコンを買うなら、なるべく本体代を安く抑えるために「OfficeなしPC」を選んだほうが良いかと思います。
先述のとおりOfficeは無料でも使えます。
必要なときに別でOfficeを買う方が、おすすめです。
一部の中古パソコンショップでは、「WPS Office(Office互換品)」が標準で付属していることがあります(例:パソコン市場)。
『Officeはいらないから、3,000円安くしてくれ』と言いたくなりますが、無料で付いてくるのでもらっておきましょう。
中古パソコンについては、こちらで解説しています。
個人売買のOffice搭載パソコンはNG
個人売買(ネットオークション)や、リサイクルショップで売っている中古のOffice搭載パソコンは、買わないようにしましょう。
初期化した時点で使えなくなる可能性があります。
理由は前述のとおり、Microsoftアカウントと紐づいていたり、プロダクトキーがなかったりするのが原因です。
プリインストール版Officeが使える条件は、以下のようになります。
- プロダクトキーが手元にある
- 初期化していない(この時点でまともじゃない)
- 前のオーナーがOfficeを使用していなかった(購入後に自分のMicrosoftアカウントで使用できる)
- 前オーナーのMicrosoftアカウントでログインしたまま(実質、使えない)
条件が厳しいので、「Office搭載」「Office付き」と書かれていても、『使えない』と思って購入しましょう。
個人売買やリサイクルショップでパソコンを購入するのは、そもそもおすすめしません。
パソコンと一緒にOfficeを買うか迷ったら
Office搭載パソコンを「買う」「買わない」の判断基準をまとめておきます。
私個人の判断基準ですが、迷う方は参考にしてください。
- 1台のパソコンでOfficeを使う(ユーザー1人)
- 「Microsoft365」を契約していない
- 「Personal」の価格が、30,000円以下
- 「Home & Business」の価格が、35,000円以下
- 「Microsoft365」を契約している
- 2台以上のパソコンでOfficeを使う
- 「Personal」の価格が、永続版の定価(¥37,700)より高い
- 「Home & Business」の価格が、永続版の定価(¥43,980)より高い
Office搭載PCを買ってはいけない理由|まとめ
- プリインストール版・OEMライセンスは、永続版より安いはずだが、高いことがある。
- Officeの価格が明示されていないパソコンは、永続版より高い可能性がある。
- Officeがいくらなのか確認しよう。
- 家電量販店や大手通販サイトでは、価格が分からないことが多い。
- BTOパソコンやメーカーのカスタマイズパソコンは価格が分かる。
- 価格が永続版より安ければ、買っても大丈夫。
- 永続版の価格は、マイクロソフト公式サイトやAmazonで確認する(Amazonのほうが少し安い)。
- 2台以上でOfficeを使う場合は、永続版かMicrosoft365の方がお得(ビジネス利用はMicrosoft365が便利)。
- 無料で使えるWeb版Officeや激安の「WPS Office」でやりたいことができるなら、買わなくていい(マクロ動かさないなら要らない)。
Officeの価格がはっきり分からないパソコンは、損をする可能性があります。
プリインストール版Officeが搭載されているパソコンは、BTOパソコンやメーカー直販サイトでカスタマイズして買ってください。
そうすれば、Office代がいくらなのか、パソコン代がいくらなのか、はっきりと分かります。
パソコンをこまめに買い替える場合や、2台以上のパソコンでOfficeを使いたい場合は、永続版(買い切り)かMicrosoft365(サブスク)の方がお得です。
パソコンは、知識がないと無駄に高い買い物をしてしまいがちです。
「同じ性能なのに、価格が10万円違う」なんてものまで存在します。その原因の一つが、プリインストール版Officeの場合があります。
性能は大したことないのに、無駄にアプリがたくさん入っていたり、そのアプリ自体が高い価格設定になっていたり……
要らないものにお金を払うことにになるので、お気をつけください。
無駄に高い買い物をしないように、「永続版」との比較は必ずやりましょう。
≫ 永続版の価格はこちら