iPhoneは山奥にでも行かない限りは、常にインターネットにつながっている状態です。
しかし、パソコンやタブレットをそうはいきません。いつでもどこでもインターネットにつなげるには、次のような対策が必要です。
モバイルWi-Fiは、ルーターを持ち歩かなくてはいけません。SIMフリー対応のパソコンやタブレットは、端末代が上がってしまいます。
しかし、テザリングを利用すれば、いつも持ち歩いているスマホで、気軽にインターネットに接続できます。
スマホの料金プランを適切なものにすれば、モバイルWi-Fiを利用したり、SIMフリー対応のパソコンを買ったりしなくても、テザリングでこと足ります。
この記事では、メリットの多いテザリング。中でもiPhoneでテザリングを利用する方法を解説します。
テザリングの事前準備
テザリングの準備をしていきましょう。
準備は難しくありません。時間もかかりません。すぐに終わります。
やるべき事前準備は以下の3つです。
テザリングの申し込み
契約しているキャリア(携帯電話会社)によっては、申し込みが必要です。
調べてみた結果、「au」と「ソフトバンク」以外は、申し込みは不要です。主要なものをまとめたので、ざっと目をとおしてください。
申し込みが不要なら、ここは飛ばして次に行きましょう。
必要なら、下記の申込先のリンクから飛んでもらうか、検索して申し込みを済ませましょう。
- 大手キャリア
-
- ドコモ/ahamo
- 楽天モバイル
- povo(※auは必要)
- LINEMO(※ソフトバンクは必要)
- 格安SIM(MVNO)
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- IIJmio(アイアジェイミオ)端末の動作確認はこちら
- mineo(マイネオ)端末の動作確認はこちら
- UQ mobile(ユーキュー モバイル)端末の動作確認はこちら
- Y!mobile(ワイモバイル)端末の動作確認はこちら
- BIGLOBEモバイル 端末の動作確認はこちら
電源の確保
詳しくは後述しますが、Wi-Fiで接続する場合は、iPhoneのバッテリー消費が激しくなります。
「短時間の利用」「iPhoneのバッテリー残量が十分」という場合は、気にしなくてもOKです。
iPhoneのバッテリー残量が寂しいときや、長時間テザリングを使用する場合は、モバイルバッテリーや充電できる場所が必要です。
バッテリーがもつか怪しいときは、Bluetoothテザリングも一つの手ですが、通信速度が遅いのが難点。「快適にインターネットに接続するには、電源の確保が必要」というのは覚えておきましょう。
iPhoneの名前を変更
初期設定では、「Apple IDに登録されている名前」が、「iPhoneの名前」として設定されています。
別に問題はないのですが、「名前が公開されている」状態は気持ちのいいものではありません。
iPhoneの名前が本名になっていて、周りの人に名前を知られたくない場合は、名前を変更しましょう。
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
少し下にスクロールして、「一般」をタップしましょう。
一番上にある「情報」をタップします。
一番上の「名前」をタップしましょう。
お好みの名前に変更してください。
iPhoneのパスワードを変更
「パスワードが気に入らない」「もっと複雑なパスワードにしたい」という場合は、変更しましょう。
テザリング(インターネット共有)は、一度つないだデバイスとは、次回からパスワードの入力が省略できます。
しかし、後からパスワードを変更すると、もう一度パスワードを入力することになるので、初めにパスワードを設定しておきましょう。
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット共有」をタップします。
「“Wi-Fi”のパスワード」をタップしましょう。
パスワードを半角英数字、8文字以上で変更してください。
テザリングは3種類
iPhoneでテザリングする方法は、以下の3つです。
それぞれの特徴、メリット/デメリットを解説します。
Wi-Fiテザリング(Wi-Fiで接続)
Wi-Fiテザリングは通信速度が速いので、もっともおすすめの方法です。ワイヤレスなので、ケーブルも必要ありません。
これだけ覚えておけば、基本的には困りません。
Wi-Fi接続には、「広範囲に電波が届く」という特徴もあります。複数のデバイスに同時接続も可能です。
欠点は、親機と子機ともに消費電力が多いこと。長時間、テザリングを使用する場合は、充電できる場所に移動したり、モバイルバッテリーを用意したり、バッテリー切れ対策が必要です。
バッテリーが元気な、最近のiPhoneだと、1日作業できちゃうこともありますが、充電環境は用意しておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
通信速度が速い ケーブルがいらない 複数のデバイスに同時接続可能 電波の届く範囲が広い | 消費電力が多い 長時間使用する場合は、電源が必要 |
USBテザリング(USB端子で接続)
USBテザリングは、直接USBケーブルで接続して使用します。そのため、通信が安定します。
iPhoneはパソコンから給電されるため、パソコンの電源を確保できれば、長時間の使用も可能です。
通信速度は「もっとも速い」と言われています。しかし、テスト結果では「Wi-Fiの方が速い」という結果が出ました(どちらも大差ありませんが……)。
接続方法は、「ライトニングケーブル」→「USB3.0端子」でこの結果です。
ライトニングケーブルがUSB2.0程度の速度しか出ないのが、Wi-Fiより遅い原因かもしれません。なんにせよ、40Mbps出れば、ほとんどの作業は快適にこなせます。
メリット | デメリット |
---|---|
通信が安定する 充電と同時にテザリングが可能 通信速度が速い (経験上、Wi-Fiのほうが速いことが多い) | ケーブルが必要 パソコンのバッテリーが消費する |
Bluetoothテザリング(Bluetoothで接続)
Bluetoothテザリングは「消費電力が少ないこと」が、使う理由になります。
しかし、通信速度が遅いので、あまり使い道がありません。軽めのWebページが、ギリギリ見れる程度です(Yahooニュースの記事ですら待ってられない)。
Macは「macOS 12 Monterey」以降では、Bluetoothでのネットワーク接続機能は廃止になっており、使えません。
使い道としては、次のような場面が考えられます。
試してみると、ノートアプリも、チャットやメールも、テキストのみなら問題なく使用できました。
ただし、重めの画像やPDFファイルのアップロードは、遅くてイライラします(動画は無理)。クラウドと同期しているファイルの編集もイライラします。
個人的には、使う理由がないので使っていません。
「iPhoneのバッテリー残量が少ない上に、充電する手段がない」という状況に追い込まれれば、使うかもしれません。
しかし、まともにインターネットを使って作業をしようとすると、20Mbps以上の速度が出ていないと、無駄に時間ばかりかかります。
Bluetoothテザリングを使うくらいなら、充電できる場所に移動するなり、モバイルバッテリーを買うなりした方がマシです。
メリット | デメリット |
---|---|
消費電力が少ない ケーブルがいらない | 通信速度が遅い 電波の届く範囲が狭い(10m程度) |
テザリングの種類|まとめ
3種類の接続方法を簡単にまとめると、次のようになります。
テザリング方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
Wi-Fi | 通信速度が速い | 消費電力が多い |
USB | 通信が安定する | ケーブルが必要 |
Bluetooth | 消費電力が少ない | 通信速度が遅い |
Bluetoothテザリングは、速度が出ないので、使い道はほとんどありません。
「長時間作業するのか?短時間なのか?」「電源が確保できるのか?ケーブルはあるか?」など、作業する時間・環境によって、Wi-FiとUSBテザリングを使い分けるのが良いかと思います。
Wi-Fiテザリングを使用する方法
Wi-Fiテザリングは、通信速度が速く、ケーブルもいりません。もっともおすすめです。
まずはこの方法を試しましょう。
Windows 11をWi-Fiで接続
iPhoneの「設定」アプリを開きます。
「インターネット共有」をタップしましょう。
「ほかの人の接続を許可」をタップして「オン」にしてください。
設定画面は、そのまま開いておいてください。次からWindow側の設定をしていきます。
Windowsのタスクバーの右側、通知領域から、ネットワークアイコン「
」をクリックして、クイック設定を開きます。「
」の右の「 」をクリックしてください。「Wi-Fiをオン」にして、接続したい「iPhone」をクリックしましょう。
「接続」をクリックします。
「STEP 3」でiPhoneに表示されている「“Wi-Fi”のパスワード」を入力して、「次へ」をクリックしてください。
iPhoneが接続されたら、「
」をクリックします。設定ウインドウが開きます。
上にスクロールして、「従量課金接続」を「オン」にしましょう。
MacをWi-Fiで接続
Macの場合は、同じApple IDでログインしているだけで、iPhoneに触らなくても接続できます。
※Apple IDが違う場合は、「ほかの人の接続を許可」と「“Wi-Fi”のパスワードの入力」が必要です。
手順は下記のようになります。
初めて、または久しぶりに接続する場合は、iPhoneのロックを解除してホーム画面を表示させておいてください。
「このコンピュータを信頼しますか?」と表示される場合は、「信頼」をタップしてください。表示されない場合は、iPhoneの操作は必要ありません。次にいきましょう。
iPhoneをMacのそばに置いて、Macのメニューバーから Wi-Fiのアイコン「
」をクリックします。Wi-Fiを「オン」にして、接続したい「iPhone」を選択してください。
iPhoneと接続すると、ネットワークアイコンが、インターネット共有「
」に変わります。もし、つながらなかったらここをクリック
つながらない場合は、次のように「インターネット共有」をオンにしてから、もう一度iPhoneと接続してください。
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット共有」をタップしましょう。
「ほかの人の接続を許可」をタップして「オン」にします。
fireタブレットをWi-Fiで接続
個人的に、テザリングをよく使っているのがAmazonの「fireタブレット」です。
テザリングは、Kndleで本を同期するのに使用しています。
インターネットに接続しなくても、途中まで読んでいる本は読めます。しかし、インターネットにつないでおかないと、どこまで読んだか保存されません。新しい本を読むにもインターネットが必要です。
そんなときに便利なのがテザリングです。
「ネットにつながらないから、fireタブレットを持ち歩いてなかった」というあなたは、テザリングで使ってみてください。
\KindleとPrime Videoにはこれ/
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット共有」をタップしましょう。
「ほかの人の接続を許可」をタップして「オン」にします。
iPhoneの設定画面は、そのまま開いておいてください。
fireタブレットの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット」をタップします。
wifiを「オン」にして、「wifiの設定」をタップしましょう。
接続したい「iPhone」を選択してください。
「STEP 3」で表示させているiPhoneの「“Wi-Fi”のパスワード」を入力して、「詳細オプション」をタップします。
従量制が「自動的に検出」になっています。
自動だと定額制になってしまうことがあったので、「従量制として処理」を選択しておきましょう。
最後に右下の「接続」をタップして完了です。
USBテザリングを使用する方法
USBテザリングは、ケーブルがあれば、簡単に安定したインターネット環境が手に入ります。
長時間、テザリングを使用する際に最適です。
Windows 11をUSBで接続
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット共有」をタップしましょう。
「ほかの人の接続を許可」をタップして「オン」にします。
ケーブルでパソコンと接続してください。
「このコンピュータを信頼しますか?」ときかれたら、「信頼」をタップします。
「iPhoneのパスコード」を入力してください。
タスクバーのネットワークアイコンが、イーサネット接続に変わり、iPhoneと接続されます。
MacをUSBで接続
MacのUSBテザリングを使用するには、同じApple IDでログインしてください。ケーブルで接続すれば、すぐにつながります。
詳しく解説すると、下記のようになります。
iPhoneとMacをケーブルで接続します。
初めて、または久しぶりに接続する場合は、iPhoneのロックを解除してホーム画面を表示させておいてください。
「このコンピュータを信頼しますか?」と表示される場合は、「信頼」をタップしてください。表示されない場合は、次にいきましょう。
MacのメニューバーからWi-Fiのアイコン「
」をクリックします。Wi-Fiを「オン」にして、接続したい「iPhone」を選択してください。
iPhoneと接続すると、ネットワークアイコンが、インターネット共有「
」に変わります。もし、つながらなかったらここをクリック
つながらない場合は、次のように「インターネット共有」をオンにしてから、もう一度iPhoneと接続してください。
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット共有」をタップしましょう。
「ほかの人の接続を許可」をタップして「オン」にします。
Bluetoothテザリングを使用する方法
Bluetoothテザリングは、Macでは廃止になりました(macOS 12 Monterey以降)。
Windowsでは使用できますが、通信速度が遅いため、実用的ではありません。
Windows 11の接続方法を解説しますが、遅くてイライラするようであれば、上記の「Wi-Fiテザリング」か「USBテザリング」を使用してください。
Windows 11をBluetoothで接続
「iPhoneとWindowsをペアリング」→「Bluetoothテザリング」という手順で解説します。
ペアリングが済んでいる場合は「Bluetoothテザリング」へ進んでください。
iPhoneとWindowsをペアリング
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「Bluetooth」をタップします。
Bluetoothを「オン」にしましょう。
iPhoneの画面は、閉じずにそのままにしておいてください。
Windowsのタスクバーの右側、通知領域からBluetoothアイコン「
」をクリックして、「Bluetoothデバイスの追加」を選択してください。≫ Bluetoothアイコンが表示されない場合はこちらを参照してください。
「デバイスの追加」をクリックします。
「Bluetooth」をクリックしましょう。
接続したい「iPhone」をクリックします。
PINコードが、iPhoneと同じものが表示されていれば、「接続」をクリックしてください。
ペアリングが成功すると「デバイスの準備が整いました!」と表示されます。
Bluetoothテザリング
iPhoneとWindowsのペアリングができたら、Bluetoothでネットワークにつなぎます。
iPhoneの「設定」アプリを開いてください。
「インターネット共有」をタップしましょう。
「ほかの人の接続を許可」をタップして「オン」にします。
iPhoneの画面は、そのままにしておいてください。
タスクバーの右側にある通知領域から、Bluetoothアイコン「
」をクリックして、「パーソナル エリア ネットワークへの参加」を選択してください。≫ Bluetoothアイコンが表示されない場合はこちらを参照してください。
接続するiPhoneの三点「
」をクリックして、「パーソナル エリア ネットワーク(PAN)に参加する」を選択します。ダイアログが開きます。「接続」をクリックしましょう。
接続したら「OK」をクリックして閉じましょう。
iPhoneでテザリングをする方法|まとめと注意点
テザリングはWi-Fi接続だけ覚えておけば、基本的に問題ありません。
他の接続方法は、ほとんど使用しません。特にBluetooth接続は、通信速度が遅すぎて使い物になりません。AppleがMacのBluetoothテザリングを廃止したのも納得できます。
事前準備は最初だけなので、次回からは、パパッと簡単に使えるようになります。
外で使うのにも、私が経験した「突然、光回線が使えなくなる」といった緊急時にもテザリングは便利なので、いつでも使えるようにしておきましょう。
無制限プランだけに頼るのは危険
iPhoneでテザリングを使用すれば、モバイルWi-Fiルーターは必要ありません。SIMフリー端末を購入する必要もありません。
iPhoneの通信プランを最適なものにすれば、テザリングでこと足ります。
ただし、あくまでもモバイル通信です。無制限のプランも存在しますが、何かしらの制限が必ずあります。
使い放題だけど、「3日で10GBを超えると通信速度が落ちる」というプランはよく目にします。契約中、または契約を検討しているプランの通信制限は、必ず確認しておきましょう。
やはり大容量通信を行うには、固定の光回線がもっとも快適です。
「無制限のプランに変えて光回線を解約した」という声も聞きますが、個人的にはおすすめできません。
「通信制限がかかっても、我慢するから大丈夫」という人は、我慢してもらうとして……私は我慢できません。
仕事でも、普段の生活でも、インターネットが自由に使えないのは、生産性の低下をまねきます。ストレスも溜まります。
テザリングは便利ですが、すべてのインターネット環境をモバイル回線だけに頼るのは、よく考えてからにしましょう。
光回線が使えなくなったときの実体験はこちらをご覧ください。