Eメール(電子メール)は、ビジネスやプライベートでよく使われるコミュニケーションツールです。
文章だけでなく、写真や動画など、さまざまなファイルを添付して送れます。しかし、添付ファイルのサイズには限界があります。
大容量のファイルを送ろうとすると、メールが届かなかったり、送信に時間がかかったりすることがあります。
トラブルを避けるためには、「メールで送れる添付ファイルのサイズ」「大容量ファイルの送り方」について知っておく必要があります。
ここでは、「メールで送れる添付ファイルのサイズに関する基本的な知識」と、「大容量のファイルを送る場合の対処法」について紹介します。
添付ファイルには送信制限がある
メールで送信可能な添付ファイルのサイズには、制限が設けられています。制限は「メールサービス」「プロバイダー」「サーバー」によって異なります。
どのような制限があるのか次の3つの項目で見ていきましょう。
実際のサイズと送信できるサイズは違う
メールの容量は、エンコードにより実際のサイズより大きくなります。
ぷらら(Plala)の公式サイトに、目安が書いてあります。ぷららの送信制限は、20MBです。しかし、実際に送信できるファイルは、約14MBになります。
ぷららの例だと、送信するメールのサイズが約1.43倍になります。「サイズが1.5倍になる」と覚えておくと安心です。
例えば、容量制限が10MBの場合、8MBのファイルを添付しても「8×1.5=12」なので、送信できません。
主なメールサービスの送信制限
主なメールサービスの制限は次のとおりです。
メールサービス | 容量制限 | 大容量ファイルの送信 |
---|---|---|
Gmail | 25MB | Googleドライブ |
Outlook | 34MB | OneDrive |
iCloudメール | 20MB | Mail Drop |
Yahoo!メール | 25MB | なし |
各メールサービスの送信制限については、公式サイトより引用しています。
上記に挙げたメールサービスのうち、「Gmail」「Outlook」「iCloud」の3つは、大容量のファイルを送信するための方法が用意されています。
- Gmail → Googleドライブ
- Outlook → OneDrive
- ICloud → Mail Drop
各サービスの使い方は公式サイトをご覧ください。
Yahooメールは、デフォルトでは大容量のファイルを送れません。Dropboxやデータ便などの外部のサービスを利用する必要があります。
プロバイダー・サーバーによる送信制限
プロバイダーのメールは、サービスによって送信できる容量は大きく違います。10MBのサービスもあれば、100MBのサービスもあります。
人気のプロバイダーの容量を3つ挙げます。他のプロバイダーをご利用中の場合は、ググってみてください。
プロバイダーのメール以外にも、企業で独自ドメインを取得している場合などは、レンタルサーバーでメールを送信できます。レンタルサーバーは、プロバイダーや多くのWebメールと同様に制限があります。
例えば、エックスサーバー は100MBです。
一般的な添付ファイルの容量は、2MB
ここまで、送信制限について語ってきましたが、100MBのファイルを送信できるとしても、ビジネスメールでは、2MB程度にしてください。2MBを超えても構いませんが、3MBを超えると大きすぎる印象です。
これは一般的なマナーであり、トラブル回避のための常識とも言えます。
送信する側は、「1通のメールにファイルを添付して送るだけ」なので楽ですが、受信する側のことを考えると、大きなファイルを送りつけるのは迷惑になるため、避けましょう。
理由は次のとおりです。
受信者の容量を圧迫する
添付ファイルのサイズが大きいと、受信者のメールボックスの容量を圧迫してしまいます。
その結果、メールサービス、サーバー、ソフトウェアに割り当てられた、限られた容量を超えてしまうことがあります。
そのため、メールを送信する際は、添付ファイルのサイズを小さくして、他のメールが正常に受信できるように配慮してください。
送受信に時間がかかる
添付ファイルのサイズが大きい場合、送受信に時間がかかります。
インターネット環境が整っていれば、1GBのダウンロードに1分もかかりませんが、状況によっては数十分かかることがあります。メールサービスやサーバーによっても速度が異なります。
大きな添付ファイルは、受信者を長時間待たせることがあるため、なるべく避けることが望ましいです。
ファイルを受信できない可能性がある
そもそも受信制限で、大きなファイルが受け取れないかもしれません。
事前に確認してから送るなら良いですが、そうでなければ一般的に送って良いとされている3MB以下にするのが無難です。
大容量のファイルをメールに添付する方法
大きなファイルを添付する際によく使われる方法は、以下の5つです。
ファイルを分割する
「1回で送れないなら、複数に分ければいいじゃない」戦法です。
動画のようにファイルサイズが大きい場合は使用できませんが、一つひとつのファイルサイズは小さいけれど、数が多い場合にはこの方法で送信できます。
がしかし、はっきり言っておすすめしません。
1つの要件を「添付ファイルが送れないから」という理由で複数に分けるのは、送信する側も、受信する側も煩わしいです。
受信者からすると、単純に迷惑でしかありません。
ファイルを分ける以外に選択肢がない場合を除き、この方法は使用しないようにしましょう。
ファイルを圧縮する
ファイルを圧縮して、サイズを小さくできます。ここでは「.zip」形式に圧縮する方法を紹介します。
zipにはフォルダごと圧縮できるため、複数のファイルを圧縮したい場合は、あらかじめそれらをフォルダにまとめておくと、ファイルが1つにまとまります。
圧縮作業も1回で済むので、圧縮する際はファイルをフォルダに入れましょう。
【Windows 10】で圧縮するには、ここをクリック
- 圧縮したいファイル、またはフォルダを右クリック
- 「送る」を選択
- 「圧縮(zip形式)フォルダー」をクリック
【Windows 11】で圧縮するには、ここをクリック
- 圧縮したいファイル、またはフォルダを右クリック
- 「zipファイルに圧縮する」をクリック
【macOS】で圧縮する方法は、ここをクリック
- 圧縮したいファイル、またはフォルダを右クリック(
control
キー + クリックでもOK) - 「“〇〇”を圧縮」をクリック
画像を無料ツールでリサイズ・圧縮する
画像は大きさを小さくすれば、単純にファイルサイズも小さくなります。
大きさを変更せずに画像を圧縮したい場合は、こちらのサイト「TinyPNG」が便利です。
画像をアップロードするだけで、簡単に圧縮できます。対応しているファイル形式は「.png」「.jpeg」「.WebP」です。
画像の大きさを変更する方法は、下記の「サイズを変更する方法(Windows or Mac)」をクリックしてご覧ください。
【Windows】で画像のサイズを変更する方法
画像ファイルをダブルクリックすると、「フォト」で画像が開きます。
ダブルクリックしてもフォトで開かない場合は、「画像ファイルを右クリック」→「プログラムから開く」→「フォト」で開いてください。
上部にある3点リーダー「
」をクリックして、「画像のサイズ変更」を選択します。幅・高さ・解像度などが変更できます。変更後のファイルサイズは、下部にリアルタイムで表示されます。
変更したら「保存」ボタンをクリックしましょう。
【macOS】で画像のサイズを変更する方法
画像ファイルをダブルクリックすると、「プレビュー」で画像が開きます。
ダブルクリックしてもプレビューで開かない場合は、「画像ファイルを右クリック」→「このアプリケーションで開く」→「プレビュー」で開いてください。
メニューバーから「ツール」をクリックして、「サイズを調整」を選択します。
幅・高さ・解像度などを自由に変更できます。変更後のファイルサイズは、下部にリアルタイムで表示されます。
変更したら「OK」ボタンをクリックしましょう。
クラウドストレージを利用する
クラウドストレージとは、インターネット上にデータを保管するサービスのことです。オンラインストレージと呼ばれることもあり「クラウドに保存する」「クラウドで共有する」といった言い方をします。
主なサービスは以下の4つです。
普段、スマートフォンやパソコンを使っているなら、どれかしらのサービスを利用しているかと思います。
Windows PCを使っているなら、OneDriveを使用しているでしょう。Androidスマートフォンを使用している場合はGoogleドライブ。Apple製品を使っているならiCloudは必須です。
汎用性の高いクラウドストレージが必要な場合は、Dropboxを使っていることと思います。
クラウドストレージを利用すると、ファイルを添付する必要がなくなります。
現在利用しているサービスにファイルをアップロードし、メールにリンク(URL)を貼り付けて送信するだけで、受信者はファイルのダウンロードや編集ができます。
クラウドストレージの選び方はこちらをご覧ください。
ノートアプリを利用する
ノートアプリは、画像や動画、圧縮したzipファイルなども保存できます。各アプリに共有機能があるため、データの共有も簡単です。
この方法は受信者にとって、もっとも親切な送信方法だと思うので、私はよく使っています。
メールの文章は短く要件だけを述べ、ファイルと注釈はノートで共有すると、相手の負担を減らせます。
ここでは人気のノートアプリ、「Notion」と「Evernote」の2つのツールを紹介します。
Notionとは?
「Notion」は、ノート・メモ・タスク管理・プロジェクト管理・データベース・Wiki・ブログ・Webサイト作成など、あらゆる用途に使えるオールインワンのツールです。
テキスト・画像・動画・音声など、さまざまなデータを簡単にまとめたり、共有したりすることができます。
しかも、ほとんどの機能を無料で使えます。
例えば、ノートにはメモやアイデアを書き留めたり、タスクにはやるべきことや期限を設定したり、データベースには表やカレンダーなどの形式で情報を整理したりできます。
Notionは、プロジェクトやドキュメントを個人、またはチームで効率的に整理するための、超多機能なノートアプリです。
≫ Notionの詳しい解説はこちら
Evernoteとは?
「Evernote」は、ノートやメモを作成し、整理・共有できるツールです。テキスト、画像、音声、動画など、様々な形式の情報を保存できます。
Notionとの大きな違いは、「手書きが可能なこと」「簡単な画像編集が可能なこと」です。
例えば、Evernoteを使って、プロジェクトのアイデアや進捗状況を記録したり、会議の議事録や資料を共有したりできます。
Evernoteは、個人やチームの生産性を高めるためのシンプルなノートアプリです。
2023年12月現在、大きな改悪があり、無料版は実質、使えなくなりました。Evernoteを使い続けるには、有料版への移行が必要です。
「Notion」「Evernote」どっちを使う?
「結局、データを共有するには、どっちを利用すればいいの?」ってなりますよね。
Notionは、テキストだけでなく、データベースやカレンダーなどの機能も備えた多機能なアプリです。Evernoteは、テキストや画像などのメモを簡単に保存できるシンプルなアプリです。
以下の表に、両者の主な特徴を簡単にまとめました。
Notion | Evernote | |
---|---|---|
機能・使用用途 | ノート作成・タスク管理・プロジェクト管理・ドキュメントの作成・共有など | ノート作成・情報整理・画像編集・ドキュメントの作成・共有など |
特徴 | 多機能で自由度が高い | シンプルで使いやすい |
インターフェース | ブロックベースの直感的なインターフェース | クラシックなノートブックスタイルのインターフェース |
データ容量の制限 | 無制限(無料版は1ファイルあたり最大5MBの制限あり) | 月間で使用できる容量に制限あり |
データの整理方法 | ページ・サブページ・データベース・タグなどを利用 | ノートブック・タグを利用 |
機能 | ノート作成・タスク管理・プロジェクト管理・カレンダー・ドキュメント作成・データベース・ウェブクリッピングなど | ノート作成、ウェブクリッピング、タスク管理など |
検索機能 | ||
画像編集 | ||
手書き | ||
AI | 文章生成やドキュメント作成の補助など | なし |
互換性 | アプリ(Windows・macOS・iOS・Android)・Webブラウザ | |
価格 | 無料プランと有料プランあり ≫ 料金プランはこちら(Notion) | 無料プランと有料プランあり ≫ 料金プランはこちら(Evernote) |
向いている人 | タスク管理・プロジェクト管理・資料作成・情報共有など、幅広い用途に使えるアプリを探している人 | メモ・文書作成など・基本的な機能を備えたノートアプリを探している人 |
データ共有ツールとして使う際に重要なのは、保存容量の違いです。
結論は、手書きや画像編集が必要なければ、容量無制限のNotionがおすすめです。
Notionの保存容量は、無料版と有料版で異なります。
無料版(フリープラン)では、アップロードできるファイルのサイズが「1ファイル最大5MB」までですが、有料版(プラスプラン~)では無制限です。
≫ Notionの保存容量の違いはこちら
Evernoteは、月間で使える容量が決まっています。
他には、ファイルサイズではなく、作成できるノートのサイズに制限があります。Evernoteは、無料版の制限が厳しいので、有料で使用することになります。
≫ Evernoteの制限についてはこちら
私は両方使用していました。メインはNotion(AIが便利すぎ)。画像編集やちょっとしたメモはEvernoteと、使い分けていました。
がしかし、最近Evernoteの改悪が続いたので、Evernoteは使っていません……
両者とも無料プランがあるので、試してみて使いやすい方をお使いください。
個人的には、容量が無制限で多機能なNotionがおすすめです。無料でも満足のいくサービスで、AIも搭載されているので、作業がはかどります。
≫ Notionを無料で使ってみる場合はこちら
≫ Evernoteを無料で使ってみるにはこちら
ファイル転送サービスを利用する
ファイル転送サービスとは、インターネットを通じて、大容量のファイルを送受信できるサービスです。クラウドストレージのようにURLを相手に伝えることで、ファイルを共有します。
違いは、クラウドストレージはファイルを保管しておけますが、ファイル転送サービスは一定期間でURLが無効になります。
保管が目的ではなく、あくまでも送信することが目的のサービスです。
ファイル転送サービスには、無料のものと有料のものがあります。
無料のものはセキュリティ面で不安があるので、有料のサービスを利用することをおすすめします。特にビジネスで利用する場合は、無料のサービスは避けましょう。
代表的なサービスは、次のようなものがあります。
無料で使いたい場合は、「ギガファイル便」がおすすめです。
メールでファイルを添付する際の注意点
添付ファイルをメールで送信する際に、見落としがちなことは、次の4つです。
ファイルが正しいものか確認する
信じられないかもしれませんが、まったく関係のないファイルを添付してしまうことがあります。
送信する前に必ず、ファイルが間違いないか確認してください。
ほんの数秒の手間を惜しんだばかりに、もう一度メールを書く羽目になったり、恥ずかしい思いをしたりすることがあります。
面倒と思うかもしれませんが、確認作業は必ず行いましょう。
添付ファイルがあることを前提にメールを書く
メールにファイルを添付するのは、本文だけでは伝えきれないことがあるからです。
本文で長々と文章で書かなくても、添付ファイルで伝わることは書かない。または、軽く触れる程度にしてください。
メールの本文にも、添付ファイルにも、同じ内容が書かれていると、受け取り手には単純に2度手間です。
反対に、添付ファイルで伝わらない、または分かりにくい部分を補足、解説するような文章は必ず添えてください。
相手が受信できるファイルサイズか確認する
送信できるファイルサイズでも、相手が受信できない可能性があります。受信できたとしても、大容量のファイルは、迷惑になるかもしれません。
容量の大きいファイルをメールに添付する必要がある場合は、まず相手が受信できるサイズかどうか確認してください。
3MBを超えるなら、確認してから送信するのが無難です。
確認を取るのも相手にとっては負担になります。3MBを超える場合は、「クラウドストレージ」「ノートアプリ」で共有することをおすすめします。
相手が開きやすい方法・ファイル形式で送信する
自分の環境と相手の環境は違います。
私は普段、CADを使って仕事をしています。CADデータの共有でよくあるのが、ネイティブファイルを送って開けないパターンです。
CADデータは、ソフトウェアが違うとネイティブファイルは開けません。中間ファイルに変換してから送信してください。
相手の環境が分からない場合のCADデータの送信方法は、2次元は「DXF」、3次元は「STEP」で送るのが一般的です。
ちょっと個人的なことを書いてしまいしたが、他によくであるのが、「WordやExcelなど、Officeのファイルを誰でも開ける」と勘違いしてしまうことです。
確かに、Microsoft アカウントとインターネット環境があれば、誰でも開くことは可能です(マクロは動きません)。
しかし、相手がそれを知らない場合、開き方を指導する手間が発生してしまいます。
無料で開く方法を簡単に説明すると、下記のようになります。
- Microsoft アカウントを取得する。
- Web版 Officeにアクセスし、ログインする。
- ファイルをアップロードする。
- Officeからファイルを開く。
書き出してみると簡単なように思えますが、不慣れな人にとってはハードルが高いです。
これを教えたいですか?面倒ですよね。相手も面倒です。
相手がOffice製品を使用している場合は、直接メールに添付する方が便利です。それ以外の場合は、リンクを共有すると親切です。
メールの添付ファイル|まとめ
- メールで送信できるファイルの容量には制限がある(多いのは20MB程度、大きくても100MB)。
- ビジネスメールでの添付ファイルの目安は2MB、大きくても3MB。
- 大容量のファイルを送りたい場合は、クラウドストレージやノートアプリなどを利用する。
電話やFAXでのコミュニケーションは激減し、ビジネスでも、プライベートでも、チャットやSNSなどでコミュニケーションを取る機会が増えました。
そんな中でも、Eメールは今でもよく使われるコミュニケーションツールです。
データの共有方法は、「メールに添付する」以外の方法が存在します。便利なツールが多いので、迷うかもしれませんが、これらをうまく活用して、円滑なコミュニケーションを実現しましょう。