デフォルト設定のままParallelsでWindowsを使い始めると、使いづらさを感じるかもしれません。
最低限の初期設定を行えば、使用開始時のストレスを軽減できます。
この記事では、Parallels Desktopをインストールした後、初めにやっておくべき設定について詳しく説明します。
特に、キーボードのショートカット設定や、バックアップの方法だけでも知っておきましょう。
MacとWindowsのハイブリッド環境を最大限に活用したい方はぜひ最後までご覧ください。
キーボードの設定
Parallelsをインストールしたら、最初にやるべきなのは、「キーボードの設定」です。
何をやるにしても、入力がうまくできないと話になりませんからね。
キーボードレイアウトをJIS配列に変更
デフォルトでは、キーボードがUS配列として認識されています。
確認する方法は《P》の右、《@》マークを入力してみてください。《[》や《「》が入力されてしまう場合は、US配列です。JIS配列に変更していきましょう。
Parallelsのアップデート後に、キーボードが正しく認識されない場合もあります。その際も、以下の手順を実行しましょう。
Parallelsを開いて、Windowsを起動してください。
Parallelsを開くと、自動でWindows 11が開きます(インストールしているOSがWindows 11のみの場合)。
三角「
」をクリックしてWindowsを起動しましょう。「スタートボタン(Windowsのロゴ)」を右クリックして、「設定」を選択してください。
サイドバーの「時刻と言語」を選択して、「言語と地域」をクリックします。
3点リーダー「
」をクリックして、「言語のオプション」を開きましょう。下にスクロールして「レイアウトを変更する」をクリックしてします。
「日本語キーボード(106/109キー)」を選択してください。
「今すぐ再起動する」をクリックします。
※「OK」では変更されません。
再起動後、「@」が正しく入力できれば、キーボードはJIS配列として認識されています。
半角/全角の切り替え設定
Windowsでは「半角/全角」キーで半角と全角を切り替えますが、Macにはこのキーがありません。
Macでは「英数」キーで半角、「かな」キーで全角に切り替えます。これと同じことがWindowsでもできるように設定していきましょう。
Google日本語入力の設定はこちらをご覧ください。
Parallelsを開いて、Windowsを起動してください。
Parallelsを開くと、自動でWindows 11が開きます。
三角「
」をクリックしてWindowsを起動しましょう。タスクバー右側(通知領域)から「A」または「あ」を右クリックして、「設定」を選択します。
「キーとタッチのカスタマイズ」をクリックしましょう。
キーの割り当てを「オン」にしてください。
キーの割り当てを次のように変更します。
- 「無変換キー」 = 「IME-オフ」
- 「変換キー」 = 「IME-オン」
これでWindowsでも「英数」キーで半角、「かな」キーで全角に切り替わります。
ショートカット/修飾キーの設定
ParallelsはMacのキーボードで入力したショートカットを、Windowsではどう動作させるかを設定できます。
Macの「Command」キーと、Windowsの「Ctrl」キーは、役割が似ています。例えば、コピーはMacでは「Command + C」、Windowsでは「Ctrl + C」です。
こういった「『Command』は『Ctrl』として送信した方がいいだろう」というものは、デフォルトで設定されています。
しかし、これだけでは不十分なことが多いので、設定方法について説明していきます。
普段、Windowsで使っているショートカットがデフォルト設定にない場合は、追加しておきましょう。
Parallelsを開いてください。
メニューバーの「Parallelsのアイコン」から「環境設定」を開いてください。
メニューバーにアイコンがない場合は、「DockのParallels」を右クリックして「環境設定」を開きましょう。
上部の「ショートカット」タブをクリックして、仮想マシンの中から「Windows 11」を選択します。
「+」をクリックすると、ショートカットが追加できます。変更できない場合は、左下のカギをクリックして解除してください。
「選択前」と「選択後」の2段になっているウインドウが開きます。「選択前」がMacで入力するキー、「選択後」がWindowsへ送信されるキーです。
「選択前(Mac側)」の「入力欄」をクリックしてください。この状態で「キーを押下」すると、ショートカットキーが入力されます(クリックして修飾キーを選択してもOK)。
「選択後(Windows側)」も同じ要領ですが、「Windowsには存在してMacにはないキー」はプルダウンリストから選択してください。
ここでは例として、ウインドウを右に寄せるショートカットを追加してみます。
Windowsでは「Win + →」キーでウインドウを右に寄せられます。「Win」キーのないMacのキーボードでは「Option + →」にしました。
「OK」をクリックするとショートカットが追加されます。
ショートカットの設定を共有
私が実際に追加しているショートカットを共有します。
Windowsでよく使うショートカットなので、追加しておきましょう。
Macの修飾キーをカスタマイズ
ショートカットを追加する前に、Mac側で修飾キーの位置をカスタマイズしています。これは、MacとWindowsをなるべく同じキーで操作するためです。
MacとWindowsを両方使用する際におすすめの設定です。特にWindowsからMacに乗り換えた方には有用です。ぜひ試してください。
- 「Control」→「Caps Lock」
- 「Caps Lock」→「Command」
- 「Command」→「Control」
修飾キーの変更方法はここをクリック
「システム設定」を開いてください。
サイドバーの「キーボード」を選択して、「キーボードショートカット」をクリックします。
「キーボードを選択」からMacのキーボードを選択して、次のように変更してください。
- 「Caps Lock」→「Command」
- 「Control」→「Caps Lock」
- 「Command」→「Control」
実際に追加しているショートカット
最低限やっておいた方が良いことと、必要に応じて追加するものの2つに分けてリストにしておきますので、追加してみてください。
Macから | Windowsへ |
---|---|
Command | Ctrl |
Option | Win |
Control | Alt |
ほとんど、これで対応できます。
Macから | Windowsへ | 機能 |
---|---|---|
Control | + EnterAlt + Enter | Excelの改行 |
Command | + Shift + ZCtrl + Y | 操作の取り消しのやり直し |
Option | +Win + | ウインドウを右に寄せる |
Option | +Win + | ウインドウを左に寄せる |
【お好みでどちらか】
Macから | Windowsへ | 機能 |
---|---|---|
Command | +Home | カーソルを行の先頭へ移動 |
Command | +End | カーソルを行の末尾へ移動 |
or
Macから | Windowsへ | 機能 |
---|---|---|
Command | +Alt + | 前のページへ戻る |
Command | +Alt + | 次のページへ進む |
もっと「キーボードの設定について詳しく知りたい」場合はこちらをご覧ください。
Microsoft アカウントでサインイン
ParallelsでWindowsを使い始めると、デフォルトではローカルアカウントになっています。
ローカルアカウントでも問題はありませんが、WindowsはMicrosoftアカウントで使う方が有利です。
例えば、MacをApple IDにログインせずに使っているようなものです。iCloudは使えないし、iPhoneやiPadとの連携もできないので、不便なのが想像できるかと思います。
Windowsをローカルアカウントで使用していると、設定やアプリの同期、バックアップができません。絶対ではありませんが、Microsoftアカウントでサインインしておきましょう。
Microsoftアカウントを取得していない場合はこちらをご覧ください。
Parallelsを開いて、Windowsを起動してください。
三角「
」をクリックしてWindowsを起動しましょう。「スタートボタン(Windowsのロゴ)」を右クリックして、「設定」を選択してください。
サイドバーの「アカウント」を選択してください。
ローカルアカウントで使用中の場合、Microsoftアカウントにサインインするボタンが表示されます。「サインイン」をクリックしましょう。
メールアドレスとパスワードや、電話番号・パスキーなどでサインインします。方法は人それぞれなので、解説は省きます(MIcrosoftアカウントがない場合は「作成」をクリックすると作成可能)。
表示される指示に従って、サインインしてください。
Microsoftアカウントにサインインすると、Windowsのパスワードが要求されます。
「パスワードを設定していない」「設定した記憶がない」という場合は、何も入力せずに「次へ」をクリックしてください。
パスワードを設定している場合は、パスワードの入力が必要です。
「次へ」をクリックして、PINを作成しましょう。
PINとは、複雑なパスワードを入力せずに、簡単にWindowsにサインインするための4桁以上の英数字です。
次にWindowsを起動した際、Macの「Touch ID」が使えるようになります。
「Microsoftアカウントのパスワード」を入力して、Touch IDを有効にしましょう。次からは、Touch IDかPINでサインインが可能になります。
グラフィックの設定
使用しているディスプレイやアプリによっては、解像度が合わなくてWindowsのサイズが小さすぎたり大きすぎたりすることがあります。
そういった場合は、グラフィックの設定を変更しましょう。
Parallelsを起動してください。
Dockの「Parallels」のアイコンを右クリックして、「コントロールセンター」を選択します。
Windowsの歯車「
」アイコンをクリックしましょう。「ハードウェア」をクリックして、サイドバーから「グラフィック」を選択します。
「解決策」から最適な設定に変更してください。変更する際にWindowsへの再サインインが必要です。作業中の場合は現在の内容を保存してから行なってください。
私の場合は「サイズ調整される」にしたら、何を使っても最適な大きさで表示されるようになりました(ただし画質はイマイチ)。
Windowsの一時停止時間を短くする
Windowsを使用している間、MacのリソースをWindowsに取られてしまいます。
Windowsを使用していないときは、多くのリソースをMacで使用できるように設定するのがおすすめです。
Macの動作が重くなるのを防ぎ、バッテリーの消費も抑制できます。
Parallelsを開いてください。
Dockの「Parallels」のアイコンを右クリックして、「コントロールセンター」を選択します。
Windowsの歯車「
」アイコンをクリックしましょう。「オプション」をクリックして、サイドバーから「起動と終了」を選択します。
「次の処理の後 Windows を一時停止します」にチェックを入れて、時間を「10秒」にしましょう。
再びWindowsを使用するには、一時停止中の画面をクリックするだけです。復帰には1秒もかからないので、煩わしさもほとんどありません。
バックアップの設定
Parallelsで使用している、Windowsのバックアップを取る方法は、次の4つがあります。
- Time Machineでバックアップ
- 手動でファイルをコピー
- スナップショットを作成
- Smart Guardを使って自動でスナップショットを作成
おすすめはTime Machineです。
普段からTime Machineでバックアップを取っている場合は、何もする必要はありません。デフォルトでTime Machineでのバックアップは有効です。
Windowsはサイズが大きいので、『バックアップに時間がかかるのがイヤ』という意見もありますが、Time Machineは自動なので、私は気になりません。
なにより、簡単でMacやiCloudのストレージを圧迫しないので、バックアップはTime Machine一択だと個人的には思います。
ここでは、Time MachineとSmart Guardについて説明します。
Time Machineでバックアップ
デフォルトで、WindowsはTime Machineでバックアップされます。設定は必要ありません。
Time Machineの設定がまだの場合はこちらをご覧ください。
Time MachineからWindows(Parallels)を除外したい場合はここをクリック
Time MachineからParallelsを除外し、バックアップの時間を短くするための設定です。通常は必要ありません。
「システム設定」を開いてください。
サイドバーの「一般」選択して、「Time Machine」をクリックします。
「オプション」をクリックしましょう。
「+」をクリックしてください。
「ホーム」に移動して、「Parallels」をフォルダごと「除外」します。
※ホームへのショートカットは「Command」+「Shift」+「H」
Parallelsが追加されているのを確認して「完了」をクリックしましょう。
自動でスナップショットを作成(Smart Guard)
スナップショットは現在のWindowsの状態を保存する機能です。
復元も簡単にできるので便利なのですが、サイズが大きく、ストレージを圧迫します。Macの空き容量に注意してください。
スナップショットの作成を自動化するには「Smart Guard」を使用します。
Parallelsを起動してください。
Dockの「Parallels」のアイコンを右クリックして、「コントロールセンター」を選択します。
Windowsの歯車「
」アイコンをクリックしましょう。「バックアップ」を選択して、「SmartGuard」にチェックを入れてください。
SmartGuardの設定は「詳細」をクリックします。
好みの設定にしましょう。
サイズが大きいので「保持するスナップショット数」の増やし過ぎには注意してください。
「Time Machine用に最適化」については、公式サイトの解説を引用
【Time Machine 用に最適化】
引用:仮想マシンのスナップショットの保存(Parallels)
- このオプションを選択すると、48 時間ごとにスナップショットが作成され、3 個のスナップショットのみ保持されます(4 個目を取得する時間に達すると、Parallels Desktop により最初のスナップショットが削除され、新しいスナップショットが作成されます)。このように、スナップショットが増えすぎて仮想マシンのサイズが増加することはありません。
- Time Machine による Mac のバックアップ時には、 仮想マシンとともにこれら 3 個のスナップショットがバックアップされます。これにより、Time Machine がバックアップするデータ量が減少し、仮想ハードディスクのバックアップの所要時間が短縮され、Time Machine のバックアップから仮想マシンハードディスクを復元する際にデータが紛失または破壊するリスクが最低限に抑えられます。
リソースの割り当て
リソースの割り当てについては、基本的には自動(デフォルト)で大丈夫ですが、Windowsにもっとリソースを割り当てたい場合は手動で設定できます。
Standard Editionを使用中の場合は、最大値「8GB vRAM」「4 vCPU」です。それ以上のスペックをWindowsに求める場合は「Pro Edition」が必要になります。
Windowsが起動していると変更できないので、シャットダウンしてください。
- 「スタートボタン」(Windowsのロゴ)を右クリック
- 「シャットダウンまたはサインアウト」を選択
- 「シャットダウン」を選択
Parallelsが起動した状態でDockの「Parallels」のアイコンを右クリックし、「コントロールセンター」を選択します。
Windowsの歯車「
」アイコンをクリックしましょう。「ハードウェア」をクリックして、サイドバーから「CPUおよびメモリ」を選択します。
ラジオボタンは「手動」を選択して、「詳細」をクリックしてください。
プロセッサとメモリを変更できるようになります。
プルダウンリストから選択するか、「その他」を選択して数値で指定します。
上記の設定画面で「詳細」をクリックすると、「アダプティブハイパーバイザ」を有効化するダイアログが開きます。
リソースの割り当てが自動で最適化される機能のようですが、オン/オフしてみてもイマイチ違いが実感できません……とりあえず、私は有効にしています。
[アダプティブハイパーバイザーを有効にする] を選択します。Windows アプリケーションを使用している場合は、より多くのリソースが Windows に割り当てられ、Mac OS X アプリケーションを使用している場合は、Mac OS X により多くのリソースが割り当てられます。
引用:CPU とメモリ(Parallels)
DockのWindowsアプリを非表示
「DockにWindowsのアプリが大量に表示されてウザいとき」の対処法です。
Windowsを使用している際は、タスクバーにアプリが表示されていれば、Mac側での表示は不要ですよね。CoherenceモードでのみMacのDockにアプリを表示させる設定を行いましょう。
Parallelsを起動してください。
Dockの「Parallels」のアイコンを右クリックして、「コントロールセンター」を選択します。
Windowsの歯車「
」アイコンをクリックしましょう。上部の「オプション」をクリックして、サイドバーの「アプリケーション」を選択してください。
「DockアイコンをCoherenceでのみ表示する」にチェックを入れてください。
Parallelsの初期設定|まとめ
ParallelsでWindowsを使う際に初めに行うべき設定について、一通りの手順を紹介しました。
最初にキーボードの設定では、JIS配列に変更し、半角/全角の切り替えやショートカットキーの設定について触れました。
次に、Microsoftアカウントでサインインし、解像度の調整を行います。Windowsの一時停止時間を短くすることで作業効率を高めるのも重要です。また、バックアップについてはTime MachineやSmart Guardで対策を立てましょう。
リソースの割り当ては、必要に応じて行いましょう。最後に、DockのWindowsアプリを非表示にすることで、作業環境をスッキリと整えることができます。
これらの設定を行うことで、快適にParallels上でWindowsを使用する準備が整います。しっかりと設定を見直し、自分に合った環境を作り上げてください。