CADを使う仕事をされている方の多くは、マウスにこだわりがあります。誰しもが『快適に作業したい』『効率よく作業したい』と考えるからです(考えない人もいますが……)。CADを使って良い仕事をするには、CADに最適なマウス、自分自身に合ったマウスが必要です。
CADに適しているマウスを探していると、「3DconnexionのCadMouse」が気になりますせんか?私は過去に約2年間、愛用していました(今はロジクールのMX ERGOを愛用しています)。
結論を言ってしまうと、3D CADを使うなら、CadMouseは「最高」と言ってもいいくらいのマウスです。
『使うのやめたくせに何言ってんだよ』と突っ込まれそうですが、使うのをやめたのには理由があります。簡単に説明すると、「トラックボールの方が自分に合っていたから」です(トラックボールについては、この記事の本題ではないので説明は省きます)。
≫ MX ERGOのレビューはこちら
トラックボールのような変なマウスではなく、一般的なマウスの方が好みの場合は、CADには「CAD用3ボタンマウス」が最適です。特に、「ホイールのボタンを押すと指が痛い」「疲れる」といった方におすすめです。使い始めはミドルクリックの違和感がすごいですが、すぐに慣れます。
気に入って使っていたので、紹介したいと考えていたのですが、過去に使っていたCadMouseは手放して手元にありません……がしかし、今回新たに「CadMouse Pro Wireless」を購入しました。
高いので迷いましたが、実機を使ってレビューしたかったので買ってしまいました。
ここでは「CadMouse Pro Wireless」1機種のレビューになります。3DconnexionのCadMouseシリーズは共通する部分が多いので、『3Dconnexionのマウスが気になってた』という方は、ぜひ参考にしてください。
\3D CADに最適なマウス/
\有線モデル/
\コンパクトモデル/
\左利き用/
\マウスパッド/
3Dconnexion/CadMouse Pro Wireless|スペック表
メーカー・ブランド | 3Dconnexion |
製品名・型番 | CadMouse Pro Wireless ・3DX-700116 (旧モデル 3DX-700078) |
サイズ | 126mm x 74mm x 44mm |
重量 | 140g |
バッテリー | 充電式リチウムポリマーバッテリー(1100mAh) 持続時間:最長2ヶ月 充電時間:2分間で1日分(8時間)の作業が可能(7時間でフル充電) |
トラッキング解像度 | 7200 dpi |
読み取り方式 | 高精度光学式センサー |
ボタン数 | 7(カスタマイズ可能ボタン数:5) |
接続タイプ | Universal Receiver(USBレシーバー) Bluetooth Low Energy Micro USBケーブル |
接続可能台数 | 2台(=Bluetooth1台+USBレシーバー1台) |
互換性 | Windows / macOS |
保証 | 2年間 ≫ 保証についてはこちらを参照 |
その他のCadMouseの名称と型番
名称 | 型番 | 特徴 |
---|---|---|
CadMouse Pro Wireless Left | 3DX-700079 | プロモデル・ワイヤレス&有線・左利き用 |
CadMouse Pro | 3DX-700080 | プロモデル・有線 |
CadMouse Compact | 3DX-700081 | コンパクトモデル・有線 |
【CadMouse Pro Wireless】の特徴
- エルゴノミクスデザインで手のポジションが自然
- 3D CADに便利なカスタマイズが可能
- CADでよく使う中ボタン(ミドルクリック)が軽い力で押せる
- 最大7200dpiの高精度センサー
- 3種類の接続方法(USBレシーバー・Bluetooth・有線)
- ジェスチャーボタンでよく使うコマンドに素早くアクセス
- 手の動きが最小限で済む「加速」機能
- 長いページのスクロールが楽になる「慣性スマートスクロール」機能
- 携帯に便利なケース付き
- 価格が高い
- 重量が重い
- 静音マウスではない
- USBレシーバーが収納できない
- 説明書が英語
梱包内容
外箱は高級感があります。Apple製品のように開ける前からワクワクします。
開けていきます。
ふたを外すと、クイックスタートガイドが出てきます。省略しすぎ……
上の画像にある『ピロッ』と出てる黒い部分を上げると開きます。
開けると梱包材に包まれたCadMouse Pro本体が現れます。本体を取り出すとUSBレシーバーとケーブルが入っています。あとは、乾燥剤(シリカゲル)が入っているだけで、説明書や保証書などは入っていませんでした。
- CadMouse Pro Wireless 本体
- キャリーケース
- USBケーブル
- Universal Receiver(USBレシーバー)
- クイックスタートガイド(箱に印刷)
【CadMouse】を使うメリット/デメリット
メリットとデメリットを下記の9項目で見ていきましょう。
デザインについて|手のポジションが自然・重い・カッコいい
CadMouseはエルゴノミクスデザインを取り入れていて、手のポジションが自然です。エルゴノミクスデザインとは、人間工学(エルゴノミクス)取り入れたデザインです。
マウスで言うと、自然な持ち方ができるように設計されているマウス。要は、「手首や指に負担がかからないデザイン」のことです。
とは言っても、「『自然な姿勢』『疲れにくい姿勢』は人によって違う」と私は考えます。エルゴノミクスデザインのマウスに変えたから「必ず疲労が軽減される」ということありません。
実際、エルゴノミクスデザインのマウスの形状は、さまざまな形状のものが販売されていますからね。
一般的なマウスに比べて重い
CadMouse Pro Wirelessは一般的なマウスに比べて重量があります(140g)。サイズも大きめで、長さ126mm×幅74mm×高さ44mmです。コンパクトな有線マウスから替えると『デカい』『重い』感じます。
デカくて重いですが、長時間使っていても『重くて疲れる』といったことはありません。
CadMouseの底面はびっくりするぐらいツルツル滑るので軽い力で動かせます。さらに「加速」という機能を使うと、マウスを動かす手の動きが最小限で済むのでラクです。
「加速」とは、マウスを速く動かすと、少しのマウスの移動でポインターを遠くまで移動することが可能になります。反対に、マウスをゆっくり動かすと精密な操作ができます。
「加速」を使うには慣れが必要ですが、慣れると仕事の進みは速くなります。
マウスパッドなしでも快適ですが、3Dconnexionのマウスパッドを使うとさらに快適になります。
\マウスが軽くなるマウスパッド/
CadMouseシリーズには、コンパクトモデルもあります。もっとも軽い「CadMouse Compact(有線)」のサイズと重量は下記の表のとおりです。
サイズ | 長さ115mm×幅71mm×高さ41mm |
重量 | 96g |
小さくて軽いマウスが好みだったり、手が小さかったりする場合は、コンパクトモデルがおすすめです。
\軽くて小さいCadMouse/
カッコいい
完全に余談です。
CadMouseが使いやすい形状であることは確かですが、何よりも私が気に入っているのは、「単純にカッコいい」ことです。
実物を見てもらわないと伝わらない部分ですが、特にシルバーの部分(多分アルミ)のヘアライン仕上げが好きです。
3D CADに便利なカスタマイズ
CadMouseは専用のドライバーをインストールすることで、カスタマイズが可能になります。
≫ ドライバーのダウンロードはこちら
3Dconnexionの設定アプリでできることを、ざっと書き出してみます。
- アプリ毎にボタンの割り当てが可能
- 中ボタンと右ボタンの入れ替え
- ポインターの速度の変更
- 「加速」の有効/無効
- ホイールのスクロール量の変更
- 「慣性スマートスクロール」の有効/無効
- ポーリングレートの変更
こうやって書き出してみると、普通の多機能マウスと変わらないように見えますね。しかし、CadMouseの最大の特徴は中ボタンにあります。
CadMouseは普通のマウス見えますが、一般的なマウスの右ボタンが中ボタンとして機能します。
長時間、CADで作業をしていると、だんだんホイールを押すのがしんどくなってきます。CadMouseはホイールをクリックしなくて済むので、指の疲れを軽減できます。
上面に配置されているボタンは、下の画像のとおり5個あり、「中ボタン」「ホイールボタン」「ジェスチャーボタン」にコマンドやショートカットを割り当て可能です。
サイドボタンにも好きな機能を割り当てられます。
ジェスチャーボタンは、CADのコマンドを素早く実行するためのボタンですが、私は使っていません。
私がメインで使っているCADは、SOLIDWORKSです。SOLIDWORKSにはマウスジェスチャーという機能があるため、ジェスチャーボタンでコマンドを実行する必要がありません。
最近、私がやっているSOLIDWORKSの設定はこんな感じです。↓
CAD用3ボタンマウスでこれだけ多機能なマウスはCadMouseのみです。
自分に合った設定を見つければ、仕事は確実に速くなります。
静音マウスではないので注意
CadMouseのボタンは静音ではありません。すべてのボタンがカチカチなります。最近のマウスは、静音マウスがスタンダードになってきたので残念な部分です。
まあまあの音がするので、静かな事務所や設計室で使用するには向きません。マウスの音が気にならない人はどこでも使えますが、私は「気にしい」なので、静かで人が複数いる場所では使えません(そもそもそういう場所が苦手)。
マウスの音くらい誰も気にしていないのでしょうが、気になる人は気になりますよね。
「静音マウスじゃないと無理」という方には、CadMouseは合いません。
ホイールを上手く使って効率化
CadMouseのホイールは、太さ約8mmと太めで使いやすいです。ホイールも一般的なマウスと同じように、ボタンとしても機能します。
ミドルクリックとして機能させることもできますが、中ボタンが他にあるので、ミドルクリック以外の機能を割り当てると便利です。キーボードになるべく触れずに作業できるように工夫すると、作業効率が上がります。
チルト機能はないので横スクロールはできません。CADの作業では、横スクロールが必要な場面はないので困りませんが、「Excelで横スクロールがしたい」といった場面には向かないマウスです。
使っていて意外と便利なのが、「慣性スマートスクロール」という機能です。この機能をオンにすると、ホイールを速く回転させたときにしばらくスクロールが続きます。
長いWebページや、ファイル数の多いフォルダ内でのスクロールが楽になります。
クイックズームとラジアルメニュー
CadMouseには「クイックズーム」と「ラジアルメニュー」というCADに便利な機能があります。
ラジアルメニューとは、ジェスチャーボタンをクリックすると、登録したショートカットキーやCADのコマンドがサークル状に表示されて、使いたいコマンドの方向にマウスを動かすと、コマンドが選択される機能です。
クイックズームとは、2個のサイドボタンをクリックすると、図面や3Dモデルを拡縮できる機能です。
カスタマイズのところでも触れましたが、私は両方とも使っていません。個人的な感想は、コマンド選択はマウスジェスチャーの方が使いやすいですし、拡縮もホイールの方が使いやすいです。
本来は、「よく使うコマンドはマウスジェスチャー」「そこそこ使うコマンドはラジアルメニュー」「クイックズーム→ホイールで微調整」といった使い方を想定しているような気がします。
私には必要のない機能でしたが、この3個のボタンにショートカットキーやコマンドを割り当てられます。ジェスチャーボタンをクリックしたときに表示される「ラジアルメニューにショートカットを登録する」ということもできます。効率化のためには必要なボタンです。
接続方法は「USBレシーバー・Bluetooth・有線」の3種類
CadMouse Pro Wirelessはワイヤレスマウスとしてはもちろん、有線マウスとしても使えます。
有線マウスとして使用するメリットは、充電しながら使えるぐらいしかないので、ほとんどの場面でワイヤレスマウスとして使うことになります。
接続方法は「USBレシーバー」「Bluetooth」の2種類。「メイン機はUSBレシーバー」「サブ機はBluetooth」というように、2台同時接続も可能です。しかし、切り替えスイッチは底面にあるため、複数のデバイスを操作する環境には向きません。
携帯に便利なキャリケースが付属
CadMouseに慣れると、他のマウスが使いづらく感じるので、持ち歩きたくなります。CadMouse Pro Wirelessにはキャリーケースが付属しているので、安心して携帯できます(有線モデルには付属しません)。
マウス本体にも、ケースにもUSBレシーバーを収納するスペースはありませんが、ケースに入れることは可能です(ケーブルは入りません)。
純正ケースが付属しているのはありがたいです。
バッテリーの持続時間は約2ヶ月|2分間で1日分の充電が可能
CadMouseのバッテリーは最大、約2ヶ月間もちます。※1日8時間、週5日使用した場合
2分間の充電で1日分(8時間)の作業ができるので、急なバッテリー切れでもケーブルがあれば安心です。
そもそもバッテリーが残り10%未満になるとLEDランプが赤色に点灯するので、バッテリー切れを起こすことはめったにありません。
充電や有線接続のためのポートは、2022年12月から「Micro-USB」から「USB Type-C」に変更されています。
私が所有しているのは、Micro-USB……今となっては古さを感じます。ちなみに型番は「旧モデルが『3DX-700078』」「新モデルが『3DX-700116』」です。
説明書は英語版のみ
CadMouseに説明書は付属していません。最近は紙の説明書が減っていますね。個人的にペーパーレス化は良いことだと思っています。
説明書は3Dconnexionが「PDF」で公開しています。残念なことに英語版しか存在しません。
≫ 説明書はこちら(英語)
CadMouseの設定方法や使い方は別記事で解説しています。購入後の参考になれば幸いです。
英語の説明書を翻訳したい場合は、こちらの記事をご覧ください。↓
【CadMouse Pro Wireless】はこんな人におすすめ
「CadMouse」がどんな人におすすめなのか、まとめてみましょう。
- メインの作業が3D CADの人
- 中ボタン(ホイールのボタン)に不満がある人
- 多機能なマウスで作業を効率化するのが好きな人
\CAD用3ボタンマウスはこれがベスト/
\左利き用/
- 小さくて軽いマウスが好みの人 → 有線・コンパクトモデルにしましょう。
- 手首の疲れを軽減したい人 → トラックボールがおすすめです。
- 静音マウスが好みの人 → こちらで静音マウスを探してみてください。
\小さくて軽いCadMouse/
\手首の疲れにはトラックボール/
【3Dconnexion/CadMouse】レビュー|まとめ
3DconnexionのCadMouseは、CAD用としては素晴らしいマウスですが、重量が重かったりボタンが静音でなかったり、残念な部分もあります。「CAD以外の作業がメイン」という方にはおすすめできません。
「メインの作業が3D CAD」「ホイールのボタンを押すと指が痛い」「疲れる」といった方には、最適なマウスです。CAD用3ボタンマウスでこれだけ多機能なマウスは他になく、唯一無二の存在です。
ただ、価格が高いのでなかなか手が出しづらいかと思います。「3ボタンマウスが自分に合うのか不安」という方は、次のような買い方があります。
- 安価な3ボタンマウスを使ってみる。
- 3ボタンマウスが自分に合っているのを確認してから、CadMouseを購入する。
「すでに3ボタンマウスの良さは分かっている」というあなたは、CadMouseを購入しても後悔することはないので安心してください。
\3D CADに最適なマウス/
\有線モデル/
\コンパクトモデル/
\左利き用/
\マウスパッド/
\安価なCAD用マウス/
\安価なCAD用マウス(ホイールレス)/